2016年4月16日土曜日

FITA コーチングマニュアル レベル2

FITAのページでCoach's Manual Level 2 (intermediate)を見つけたので、その内容をちょっと紹介。

文書は、15のモジュールに分かれていて、アーチェリーに関する色々な話題を取り扱っています。

その中のモジュール12でリカーブ シューティングフォームについて扱っているので、その各章でキーになると思える記述をまとめてみました。


全体を通じて、体の軸をふらつかせないようにとの記述があります。

1. スタンス 
体軸(身体の中心線)を維持できるスタンスを取ること。
まず、正確かつ基本的な正方形スタンス(square stance)をマスターすること。
その後、自分の体形に合ったスタンスに移ること。

2. セットアップ
押手の正しい位置(ピボットを押す)と腕のねじり。
引手の高さは、目と唇の間のあたりで引く。
ドローイング中の体軸がずれないように。

3.取かけ
取かけは慎重、かつ正確に行うべき。
初期段階で不適切な指の位置を覚えると、是正するのは非常に困難。
取かけの位置が、フォーム全体に影響するので、取かけは完璧に行う。

4. グリップ
グリップは、すべてのショットで一定となるように、違和感のない自然な位置とする。
ショット完了まで、押手の肩と腕の安定性を感じ維持する。
伸び合でグリップ上の手が、滑ったり左右に動いてはいけない。

5. ドローイング
弓は、均等にゆっくり引き、完全に制御されたリズミカルな動きとする。
引く方向は真っ直ぐに、ふらついてはいけない。
弓を引くとき体軸を維持する。

6. アンカー
アンカーは、すべての基本的なスキルの中で最も重要
アンカリングは、肘を使って弦を引く。
肘は矢の水平ラインより高くなければならない。

7. フルドロー
フルドローの正しい姿勢を習得したあとで、リリースの練習を開始すべき。
フルドローでは、真っ直ぐに立つこと(体軸の維持)。
押手のグリップから引手の指を経由して引手の肘までを真っ直ぐにすること(矢筋)

8. 伸び合
シューティングの基本的なスキル(伸び合)を習得したのち、クリッカーを使うべき。
伸び合は、押す・引くの力のバランスを常に一定とすることが非常に重要。
体の中心線または重心に変化を生じさせてはいけない(体軸の維持)。

9. リリース
後でリリースを修正するのは非常に困難、初・中級の段階で、リリースをマスターすること。
伸び合の時は、背中の筋肉の力を維持しながら制御されたリリースを行う。
リリースは、引手の指を制御する筋力をただリラックスさせる。

10. フォロースルー
リリース後は、フォーム、視覚、感覚、呼吸の状態を含め、姿勢を維持する。
リリースとフォロースルーの動作では、体軸の垂直線を維持する。
背中の筋肉はリリース後すぐに緩めるべきではない。
良いフォロースルーをイメージすると、良いリリースができる

11. 呼吸
セットでは、通常の自然な呼吸。
セットアップで、腹式呼吸により約 70 ー 80% の量を吸う。
ドローイングで20%-30%まで吐く。
アンカー位置では、呼吸動作を中断(空気の漏れ程度の呼吸維持)。
ショット完了で、普通の呼吸パターンに戻す。
呼吸と動作を関連づけてルーティンを確立する。


2016年3月31日木曜日

クリッカーチェックを考える


クリッカーチェックとは、フルドローに入る際、「クリッカーと矢のポイトの距離をチェックすること」で、クリッカーの動きを見て、矢がポイント位置まで引けているかを確認します。

あと2-5ミリでクリッカーが落ちるようにフルドローするため、ポイントのR部でクリッカーが動くことによって確認します。

クリッカーチェックを行うと、アンカーに入れる引尺がいつも一定であるため、伸び合を安定させることができます。

一方、クリッカーチェックを行うとドローイング中クリッカーを見ているため、最終のエイミングは、クリッカーチェック後となり、視線をクリッカーから的へと変える動作が発生します。

クリッカーチェックの流れを書けば

  1. サイトをゴールドの上に合わせてセットアップ
  2. 視線をクリッカーに移し、チェックをしながら引き込み
  3. アンカリング(ほぼサイトはゴールド着いていればよし)
  4. 視線を的に移行(エイミング)
  5. 伸びあい
  6. クリッカーを切ってリリース
  7. フォロースルー
クリッカーチェックをしない流れは、
  1. サイトをゴールドに合わせてセットアップ(視線はずっと的の中心
  2. サイトと的を合わせながら引き込み
  3. アンカリング(サイトをゴールドに
  4. 伸びあい
  5. クリッカーを切ってリリース
  6. フォロースルー
さて、どちらの方が安定したショットができるでしょうか?

FITA Coach’s Manual 
RECURVE BOW SHOOTING FORM

によれば、

クリッカーチェックあり
8.2.1 The method of looking at the arrow point whilst the archer is drawing the arrow

Strong points: 
The archer comes to full draw being aware of the arrow point and clicker relationship.
 In particular they see the arrow point nearing the position of activating the clicker which develops a fixed draw length and helps producing a constant extending time..

Weak points: 
When the archer comes to full draw and their vision moves from the arrow point to the sight pin, a phenomenon occurs where full draw pressure is relaxed and the arrow creeps slightly forward. To counter this, the archer must actively continue the extending action in a continuous motion.


クリッカーチェックなし
8.2.2 The method of drawing the bow without looking at the arrow.

Strong points:
The archer can easily feel their own senses, and the continuous action of extending can be easily performed.

Weak points:
An inconsistent draw length may occur as a result of the archer’s physical condition; even the climate or wind conditions may influence the archer’s ability to achieve a regular and constant draw length.

と、一長一短です。

一般的には、

1. クリッカーチェックをしない人
 始めは、クリッカーチェックをし引尺の感覚がつかめたら、クリッカーチェックやめた人。

2. クリッカーチェックに戻る人
 チェックをやめると、クリッカーを切るタイミンがバラバラになり、クリッカーチェックに戻った人。

3. クリッカーチェックを続ける人
 クリッカーチェックをしても、視線の移動時、緩みが発生しない人。(この人が一番いいかも)

私は、クリッカーチェックをやめて2年になります。

視線を動かすと

  • 引手は緩むし
  • 顔向けも動き
  • サイトがゴールドから大きく外れ

クリッカーチェックをしない人になりました。



2016年3月29日火曜日

矢筋を考える その3

矢筋を考える その2で、リリース前に肩のラインと押手のラインをできだけ真っ直ぐにするように押手の肩の位置を調整すると、グルーピングがよくなると書きました。

うまくいっている時には、その通りなのですが、引手が少しでも緩むと、矢は大きく左にそれ、青まで飛んでいきます。

絶対に引手が緩むことがないように、クリッカーを落とす最後の伸び合いは引手優先にする必要があります。

2016年3月14日月曜日

矢筋を考える その2

だいぶ前に「矢筋を考える」と題し書いてみましたが、Coach’s Manual Entry Level 2015 (World Archery)を読んでいて、今までの理解と違うところを発見したので、その違いを考えてみることにしました。

まず、Coach’s Manual Entry Level 2015の「The angles to be considered for correct body alignment 」の抜粋。 (和訳は???です)




今までは、肩のライン(Angle 2とAngle 3)は矢筋ピボットポイントとアンカーポイント、引手の肘の先端の3点を結ぶ直線)と平行で、その台形の高さを極力小さくする。



でしたが、Manualの図では、「Angle 2:押手の肩の力を最大限引き出するため、押手と両肩の角度は出来だけ直線に近づけるのがよい。」となっています。


前回の図を用いれば、こんな感じですが、「肩が入り込み押手の腕に弦が当たりいいことこなし」と結論づけていました。

Manualの図では、「Angle 1 :弦とのクリアランスを考慮の上で、押手とpower lineの角度は出来るだけ小さく保つのがよい。」 と 「弦があたらない範囲で」の注釈がついています。

よって、Manualの方は、「両肩のラインの延長線が的を指すようにする」と言う教えと、違っていますが、Manualの方が押手の肩にかかる力のバランスから見れば、理に適っていると思います。

色々試してみるアーチャーとしては、試してみることにしました。

まず、アンカーに入れるまでは、今までの矢筋論の通り、「両肩のラインと矢筋は平行に保つ」を採用します(前回、肩が入り込み失敗しているので)。

伸び合の時に、
  1. 押手の肩のラインをManualにある方向に回す(注1)
  2. それに合わせて引手のテンションも上げ(注2)
  3. クリッカーを切り
  4. リリースする

注1) ほとんど動いていません、クリッカーを切る2~3mm程度の動きです
注2) 戻りリリースになるので、押す力のアップに対応して、引手側も背中を絞ります

これが案外goodで、グルーピングがよくなるみたいです。










2016年3月6日日曜日

初心者講習会


八王子市の富士森体育館で、週2回、初心者講習会を開催しています。
(詳細は、http://www.h-archery.jp/ 八王子アーチェリー協会のページを参照)


今年度から、指導員を担当することになり、はじめてアーチェリーをする方を対象に簡単な説明資料を「Coach's Manual Entry Level Jan. 2015( World Archery )」を参照し作成しまた。

10分程度の説明資料ですが、このブログで公開することにしました。


PDFへの直接リンク

蛇足ですが、Sore Card作成中。 Test用のPageにリンクします。





2016年1月11日月曜日

相模原インドアオープン


昨日(1/10)、相模原のインドアオープンに参加しました。
できは普段通りでしたが、一般男子の優勝をいただきました。


2015年10月26日月曜日

市民大会

10月25日 八王子市の市民大会が行われました。

参加人数は94名と盛況な大会で、例年通り陸上競技場のフィールド全面を使用して行われました。

試合開始前の的

小学生から後期高齢者まで、多彩な年代の方々が参加され、楽しい大会でした。

私は、50m/30m RCのクラスに参加しましたが、結果の方は、散々で昨年より40点以上悪い結果で、いいことなしでした。

行射風景1

行射風景2

試合後の集合


2015年7月22日水曜日

ピンキーとサム レスト

タブ、グリップ、ボースリングと体に触れる部分は、自分の体に合わせて色々改造しています。

今回はタブの改造ポイントについ書いてみます。

ベースはFitタブのMサイズです。
最初の改造は、アンカーの安定化を狙って、親指を載せるサムレストを作ってみました。
アンカーパッドの下にサムレスト付ける
サムレストは、親指を安定させ、親指の不要な力を抜き、取り掛けをリラックスさせる効果が期待できます、また、親指が伸びているので、タブを握り込むことができなくなります。

親指が直線的になりアンカー時、顎と指の密着面積が広くなりアンカーも安定します。


次に、カンターピンチの厚みを厚くしてみました。
カンターピンチの改造
リリース時に指示指と矢が接触し、指示指が痛くなることがあるので、厚みを2mm程厚くしました。

最後に、
ピンキーレストを作ってみまた。

ピンキーレストをつける
完成形

ピンキーレストを使うと、フックの薬指はズレにくく、しっかりとストリングを引いて来ることが出来ます。

フルドロー時、ピンキーレストがあると、薬指がズレにくいのでクリッカーを一定のリズムで切ることができます。また、サイトが2mmほど上にあがりました。(30mで)

結局、FIVICSの ポライト タブと同じ形になってしまいました。
FIVICS ポライト タブ

x

2015年7月1日水曜日

矢の硬さについて考える


1年半ほど前に矢をCarbon One 660 から A.C.E 670 (数字はスパイン)に変えたときの話です。

なぜ、Carbon One 660 を A.C.E 670と同じ程度のスパインのシャフトに変えたのかと言えば、Carbon Oneでは矢が硬すぎて、ポイントを100grから一番重い110grに変更しても、ベアーが羽根付によって来ません、最大120grのポイント使えるA.C.Eならばうまくいくと考えたためです。

結論から言えば、A.C.E 670の120grは柔らかすぎて,110grでぴったりでした。(どちらも矢長は747mmでおなじ)

なぜ、同程度のスパインでCarbon Oneは硬く出て、A.C.Eはぴったりなのでしょうか。

矢の硬さとは何かを考えてみました。

まず、固有振動数が高いほど硬い矢で、固有振動数が低いほど柔らかい矢となります。
(硬い物は早く振動し、柔らかいものは遅く振動します)

固有振動数は、(矢のばね定数/矢の質量)の1/2乗に比例します。

また、バネ定数は長さの3乗に反比例していますので、矢が長くなればなるほど矢の剛性は低下して柔らかくなります。

したがって,質量→大,長さ→大で,固有振動数が低下し矢は柔らかくなります。

また、ばね定数は、荷重・長さが同じ時の静的なたわみ量に反比例します。

EASTON社はカーボンアローについて、支点間距離「28インチ」、荷重さを「1.94ポンド」(880グラム)を基に測定した、スパインの測定値(たわみ量)がそのまま3桁の数字で書かれています。(0.66インチのたわみ量のシャフトは660)

よって、Carbon One 660のたわみ量0.66" と A.C.E 670のたわみ量0.67"ですから、Carbon One 660のばね定数はA.C.E 670の1.015倍となります。

また、シャフトの重さ比は、Carbon One 660は6.6gr/inch、A.C.E 670は6.1gr/inchで、羽根とノックを無視すれれば

Carbon One の矢の重さ :シャフトの重さ=6.6gr/inchx29"+110grポイント= 301gr
ACE      の矢の重さ :シャフトの重さ=6.1gr/inchx29"+110grポイント= 287gr

Carbon One/ACE 301/287 =1.048となりますので、

  シャフトの固有振動数の比(Carbon One/ACE)は、√(1.015/1.048)=0.98

で、2%ほどCarbon Oneの方が小さくなり、Carbon Oneの方が柔らかい矢となっていいはずですが、経験的には全く逆の結果となっています。

これは、矢の重心がACEの方がCarbon Oneより前にあるためACEの方が、柔らかい結果となっていると考えられます。(前重の方が、矢は柔らかくなる)

また、噂によれば、Carbonの調整は難しく、アルミの方がやさしいとの話があり、Carbon Oneは無垢のCarbon ですが、A.C.EはCarbon と アルミのコンポジットであるためアルミの性質も持っているため、調整が簡単にできたのかもしれません。

2015年6月11日木曜日

330点を考える

第418回 練習

今日の練習で、久しぶりに30m-36射で331点を記録しました。

330点代の点数を取るには、7点を打たないようにしないと難しいことは、統計の得点分布から推察できます。

その7点を打たなければ、330点が取れる典型的な得点分布が一昨日記録した324点です。

この2つの射を振り返り、その違いがどこからくるのか考えてみます。

まず、331点の射ごとの得点分布と324点の射ごとの得点分布を比較してみると

           331点の射ごとの得点分布   324点の射ごとの得点分布
1射得点
本数
得点
本数
得点
X,10点
14
140
12
120
9点
16
144
17
153
8点
5
 40
2
 16
7点
1
  7
5
 35
合計
36
331
36
324

 得点分布のグラフ(上331点、下324点)

324点のケースは、7点の得点分布が明らかに確率から導かれる得点分布(赤い折れ線)と異なっていますが、331点のケースは、確率から導かれる得点分布とよく一致しています。

もし、324点のケースで7点へのハズレが8点に収まっていれば、329点と330点に近づき、得点分布も確率の分布に近づきます。

なぜ、確率分布に反し、7点のハズレが多く出るのかその原因は、10点9点の時と、7点がでるときでは、フォームが異なっているためと思われます。

一昨日(324点の射)と今日(331点の射)の違いは、

324点の射----アンカーの位置が同じになるよう意識して行射、リリースはあまり意識せず、押してみたり、引いてみたりでした

331点の射----リリースの力の入れ方が同じになるように意識して行射

です。 

アンカーの位置を一定にするのは当然として、リリースも安定させないと思いの他大きななハズレがでる例となってしまいました。

331点の射では、クリッカーの落し方を
1)引手の指示指で弦を顎にめり込ませる(実際は、顔が後ろに引かれる)
2)鼻の頭にあたる、弦の圧力が一定となるように、弦の引きと顔の引き量を合わせる

他の点は、意識的には変えていないので、この点が得点分布の違いになって表れたものと考えています。

リリースを安定(一定に)させないと得点も安定しない」との先輩の言葉通りす。

蛇足ですが、320点代の典型的な得点分布は、下図のようになります。
6点1本、7点2本と言ったところです。

この得点分布は、安定(現在の平均的な得点分布)していますが、6点、7点があり10点が少ないことから、321点となっています。