2018年11月13日火曜日

矢の回転方向

長いお休みののち、再開します。(アーチェリーを休んでいた分けではありません、話題がなかったので、お休みしていました。)

前に「ベアシャフトも回転してる」に「ノックの上と下で力がアンバランスであれば、そのアンバランスで発生した力はシャフトの中心点を通過せずに、回転運動が始る」と矢の回転の始まりについて書いていますが、今回はその回転方向について考えてみます。(話は全て右射ちの場合です) 

矢は、羽の有無にかかわらず弦から矢が離れる瞬間に回転をはじめます。(弦が左前方向に動いている(ノックを左前に弦が押している)ときに、矢は弦から離れます。)

多くの右射ち(右手が引手)の人は、矢をノック側から見たとき右回転(時計回り)で矢は飛んでいきますが、たまに右射ちにも関わらず、左回転(反時計回り)の人も見受けます。

この左回りする矢に、右射ち(右回転)用の羽を貼ると、矢が飛んでいる途中で回転方向が左から右に変わるため、矢の振れが一瞬大きくなる変換点(回転数0の点)が発生し、矢の軌跡が大きく振れることがあります。 

飛んでいる途中で大きく尻りを振るときは、矢の回転方向を確認してみてはい如何でしょうか。(方法は末尾に)

さて、回転の方向が異なるわけを考えてみます。

1)右射ちで右回転の矢(人)
弦からノックが離れるとき、ノックを横に押す力がわずかに下側が強いと右回転となる。

a. リリースの時、弦が指示指、薬指、中指から同時に離れる人は、「ベアシャフトも回転してる」に示したように、矢は左側に動く弦から離れるとき、上側の弦より下側の弦が速く動くため、ノックの下側に強い横方向の力を受け右回転が始まります。

理想的なリリース(3本同時)


弦の軌跡とノックが離れる位置、ノックには前(図では左)へ押す力と、左(図では下)に押す力がかかる

b.リリースの時、下側の弦を引いている薬指を弦が滑り、一番初めに薬指から弦が離れる人(多くの人はこのタイプ)は、a.の下弦の速さに加え、薬指の位置の弦が早く進むため、a.のときに比べ矢は少し速い速度で右回転(時計まり)を始めます。

2)右射ちで左回転の矢(人)
一方、弦からノックが離れるとき、ノックを横に押す力がわずかに上側が強いと左回転となる。

リリースの時に、最初に指示指を弦が滑りはじめ、指示指近くの弦が左側に早く振れる人でその部分の速さ(上弦の速さとはじかれた部分の弦の速さの和)が、ノックの下弦の速さより速いとノックの上側の方が強く押されるため、矢は左回転(反時計まり)をはじめます。



指示指から弦が滑り出す人がすべて左回転(反時計まり)になるわけではなく、ノックの上部分に横向きの力が強く働く人のみです。ほとんどの右射ちの人は右回転(時計回り)となります。

私の知る限り、右射ちの人で左回転の人は3名です(率でいえば1%前後かと思います)。左射ちで右回転の人は一人も知りません。

補足: 矢の回転方向を調べる方法
近射(1mぐらい距離、羽による回転が始まらない距離)を水平に行い、刺さった矢のコッ
クベインの位置で回転方向を確認する。


a.コックベインが打ち出す前より左上側にある---- 右回転(時計回り)
b.コックベインが打ち出す前より左下側にある---- 左回転(反時計回り)


羽の影響を取り除きたい場合は、ベアシャフトで同じことを行う。(コックベインの位置に印を忘れずに)

左回転の人は、右射ちでも左射ち用の羽を貼れば、左回転のまま矢が飛んで行くため変換点は現れず、点数アップにつながります。