「弦サイトについて考える」で、弦サイトの目的は、利目と弓の左右の位置関係を常に一定とし、狙いの精度を高めることと書きました。
また、「アンカーで狙うを学ぶ 」では、アンカー位置と目の位置を常に同じにすることで、的を狙う四角形を一定に保つことができると書きました。
では、アンカーと目の位置関係が変わると弦はどのように見えるかを考えてみます。
利き目にカメラをつけて、動画を撮ればすぐにわかりますが、装置がないので二枚の絵で代用します。
左(1)は、目、弦、サイト、的のすべての中心が同一ライン上にある時の弦の見え方です。
弦の中心と瞳(視線)が同一線上にあるので、あご先に付いた弦(アンカーポイント)の位置は、瞳(視線)の真下に来ています。
サイトの中心に弦があり狙いにくいですが、弦はぼやけているので、的を狙えないこともありません。
右(2)は、視線をサイトの中心に置きながら、目を少し左に動かした(気持、顔を左に傾けた)時の弦の見え方です。
視線をサイトの中心に置いていても、目の位置を動かしただけで見え方は変わります。
弦は右側に大きくずれています。 これは、弦が目の近く(3-5cmの距離)にあり、視線からずれる角度が大きく、大きく移動して見えます。
一方、的は、目からの距離が弦に比べて遠く(目から30m先)視線からずれる角度が小さいので、ほとんど動いては見えません。
このように、少し目の位置をアンカーポイントから左右に動かしただけで、弦の見える位置が大きく違って見えます。
この性質を利用して、弦がハンドル上に見える位置を常に一定にすることで、目とアンカーポイントの相対位置(水平距離)を一定に保つ狙い方が、弦をサイトとして使う方法です。
さて、目のアンカーポイントからの水平方向のずれが、どれくらい弦の位置のずれとしてあらわれるかを計算してみます。
私の弓・体の大きさを計測したデータを用いて計算してみます。
目から的までの距離: 30m (30,000mm)
目からサイトまでの距離: 90cm (900m)
目からハンドルまでの距離: 61cm (610mm)
目から弦までの距離: 4cm (40mm)
目とアンカーポイントの水平距離: 1mm (左に目が1mm動いた状態)
関係を上から見たところ(的方向と直角方向で縮尺がちがいます)(的付近はNone Scale)
計算結果は、(1)のすべてが中心にある状態から、目の位置が1mmずれると(2)の状態となり、弦がハンドル上のアンカーポイントから約1.4cm(14mm)の位置に見え、視線の中心は、的の中心から約3.2cm(32mm)右にずれた位置となります。
この状態で、サイトを的の中心に合わせる(3)と、実際の矢の向きは的の中心から左に32mm外れた位置に飛んで行くように設定され、完璧なリリースをしても、矢はXを外れて10点の9点よりに刺さります。
このように、アンカーの位置が正確でも、アンカーポイントと目の距離が変化すると矢は狙ったところへは飛んでいきません。
アンカーポイントと目の距離が変化する(弦サイトがずれる)原因として考えられるのは、
- アンカーポイントが顔の決まった位置にない
- 顔向けが変化する
- 顔が左右に傾く
- グリップを握り弓をねじっている
弦サイトを合わせるために、顔向けを動かすことは最小にしなければなりません。顔(視線)を動かすと、体軸も動き体の傾きを生む原因となります。
ちなみに私の弦サイトは、計算上の目とアンカーポイントのずれが0.7mmの位置です。(左の図)
蛇足ですが、アンカーポイントと目の上下の位置関係は、弦が鼻の頭につく強さで確認しています。
・強すぎると: あごを引いているので、目とアンカーの距離がちじみ、矢は下に行きます
・当たっていないと: あごを出しているので、距離が延びて、矢は上に行きます
顔のあごを強く引く、出すの違いで点数的には、1点弱程度違ってきます。
顔のあごを強く引く、出すの違いで点数的には、1点弱程度違ってきます。
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