2016年6月16日木曜日

広背筋で引手の肘を学ぶ

学ぶシリーズ 010

引手の肘の高さは、「目と唇の間」にあるのがよいとされています。
最適な高さは、その人の骨格によって決まるため「目と唇の間」で、快適に感じる高さであればよい訳です。

引手の肘を高くしすぎると、引手で自分の肩を引っ張り上げます。
押手・引手とも肩は出来るだけ低く保つ事により、リリース前の最後の伸び合が可能になります。

肩が上ると引尺が短くなり、引手の肘の高さを考えるにあるように、引手の手首に力が入り、余計な力が矢に働きます。

引手の肩が上がらない、肘の高さは、後ろから見た時水平線に対し45°ぐらいです。


この高さが、目の高さと大体同じになります。

では、低い方はどこでしょうか。

やってみれば分りますが、引き手の肘を矢より低くしてドローイングすると背筋を使う事が出来ず、腕の力で引くことになります。

腕で引くと引手の手首・指に不必要な力が入り矢に余計な力を与えます。
また、腕で弓を引くと身体を壊す原因となり、アーチェリーを続けることができなくなります。

では、なぜ肘を上げないと背筋が使えないのでしょうか。
弓は背筋を駆使して引きますが、広背筋が主役になります。

広背筋は脊柱と骨盤後部から上腕骨(上腕)をつなぐ大きな筋肉で、いわゆる逆三角形を形作る主な筋肉で、腕を後方・下方に引き寄せます。

この広背筋は、バックテンションを体感してみるに書いたように懸垂(チンニング:肩幅より広い手幅で、順手で行う懸垂)をするときに使う背中の筋肉で、両腕を下におろし、おしりの所で合わせると完全に緩みます。広背筋は腕を下げれば緩み、上げれば緊張する筋肉です。


上腕骨(上腕)を広背筋が引く様子を図式化したのが下の絵です。


この絵は、右利きの人が弓を引くときの力のバラスを背中側から見たものです。

1.黄色の矢印: 
引手に掛かる弓からの反力で、前腕を通じて引手の肘に作用します。 この時、脱力した前腕はロープのようになり、力の方向に一致します。(骨は引く力には無力です)

2. 赤色の矢印: 
黄色の力が肘に作用すると、力の一部が肘の関節を通じて上腕骨を押す力となります。
前腕と上腕には角度があり、残りの力は、肘を前に戻す力となります。

3.緑色の矢印: 
上腕骨は肩甲骨で支えられ肘が体の方に動くことはありません。(骨は、押す力に棒として働きます)

4.薄い赤色の矢印: 
上腕骨に繋がる広背筋に力を入れると、上腕骨(上腕)を後方・下方に動かす力が働き、肘を前に戻す力を打ち消し、肘を背中の方向に動かします。
最終的にはこの力で矢筋を通します。

引手の肘が、矢より低いと(前腕が下を向くと)、広背筋の力がうまく働がず、肩甲骨で上腕骨を支えることも出来ず(肩が上がり)、腕の力で弓を引かなけばならなくなります。

引手の肘が低いと押手の押す力と引手の引く力のバランスが崩れ、引き尺が短くなり良いリリースはできません。

肘を高くすることで:
  1. 肘を前に戻す力を消し、矢筋を通すことができる
  2. 肩甲骨で矢を引く力を支える事が出来る(筋力がいらない)
  3. 肩が上がらない
  4. 最後の伸び合いができる
  5. 強い弓が引ける
の特典がついてきます。

引手の肘はドローイングの開始前から、リリースまで目の高さにあるよに意識することで、最終的に「目のと唇の間」に入ると思います。

また、ドローイングを肘でする意識を持つと、広背筋を上手く使えると思います。


1 件のコメント:

  1. 丁寧な説明でよくわかりました。努力して広背筋を使えるようになったらいいなあ。
                                        松村

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