2014年5月23日金曜日

矢速について考える


まず、高校の物理の運動エネルギーの公式。

E=1/2*m*v*v

E: 運動エネルギー (単位 J : N-m)
m: 質量 (単位 kg)
v: 速度 (単位 m/sec)    

今回は、矢の発射される速度を計算してみます。 

v=(2E/m)^0.5  

Eは、弓から矢に与えられるエネルギー、mは矢の質量(重さ)、vは矢の発射速度となりますので、E,mを推測してvを求めます。

矢の初速は、弓のエネルギーが2倍になれば1.4倍に、矢の質量が半分になれば1.4倍になります。

まず、矢の重さ m:
ACE-670(6.1gr/in) 749mmとポイント110grで18g、これに、羽根、ノックを加えて約20g(0.02kg)とします。

弓が矢に与えるエネルギーは、Draw Force Curve(引き尺とポンドの関係)を積分して、その面積から求められます。

uukha-U100XのDraw Force Curveは、uukhaのホームページ(http://www.uukha.com/en/technologie-en.php)から、CurveをCopyし、引き尺28インチで32#になる相似のCurveを作ってみました。

普通のDraw Force Curveは、X軸が引き尺で単位はインチ、Y軸は弓の強さでポンドで表示されていますが、今回はこれを、X軸の単位をm、Y軸の単位をNに換算しています。

また、右側のY軸はN-m(J)の単位で、弓に蓄積されるエネルギーを示します。


青い線が、Draw Force Curveでブレースハイトからアンカーまで引いた時の弓の力(Weight)を示しています。

アンカーでは、引き尺29.5インチで34.2ポンド(749mm-152.4N (15.5kg))です。

この青い線を積分して求めた弓に蓄えられるエネルギー(台形近似で求めた面積)を、赤い線で示しています。 (アンカーで44.5N-m(J)です)

弓のエネルギーは弦・リムを動かすエネルギーにも使用されますので、矢に伝わる効率を95%と想定し42.2Jを矢に伝わるエネルギーとします。

矢の重さ  m: 20g
エネルギー E: 42.2J
から、v(矢の初速)を計算すると

   64m/sec、232km/h となります。(効率60%で184km/h)

私の引き尺は、29.5インチでこの初速になりますが、

28インチの場合、矢に伝わるエネルギーは、36.9Jで、初速は、60m/sec,213km/h
27インチの場合、矢に伝わるエネルギーは、33.6Jで、初速は、57m/sec,206km/h
26インチの場合、矢に伝わるエネルギーは、30.3Jで、初速は、54m/sec,196km/h   
   
と、各々7%、11%、16%ほど遅くなります。

追記: 2015/06/25
効率95%は出来過ぎのようです。

弓の効率は70%-85%ぐらいみたいです。
70%とすると、矢速は0.85倍の199km/hぐらいになります。

また、へたな撃ち方をすると、さらに効率が10%ほど落て、0.8倍の184km/hとなります。
こちらの方が実感に合っています。

2019/5/17 追記
On the Mechanics of the Arrow:Archer's Paradox 1
B.W. Kooi and J.A. Sparenberg

に次のForce Draw curveが提示されていました。

このカーブは、リム等の質量・戻りの速さを考慮し、弦から矢に作用する力を計算により求めてたものです。

静的なFDC(上記に書いたカーブに相当)と 動的FDC(実際に作用する力)を比較したもで、このカーブの面積の差が、効率に相当します。




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