まず、高校の物理の運動エネルギーの公式。
E=1/2*m*v*v
E: 運動エネルギー (単位 J : N-m)
m: 質量 (単位 kg)
v: 速度 (単位 m/sec)
今回は、矢の発射される速度を計算してみます。
v=(2E/m)^0.5
Eは、弓から矢に与えられるエネルギー、mは矢の質量(重さ)、vは矢の発射速度となりますので、E,mを推測してvを求めます。
矢の初速は、弓のエネルギーが2倍になれば1.4倍に、矢の質量が半分になれば1.4倍になります。
まず、矢の重さ m:
ACE-670(6.1gr/in) 749mmとポイント110grで18g、これに、羽根、ノックを加えて約20g(0.02kg)とします。
弓が矢に与えるエネルギーは、Draw Force Curve(引き尺とポンドの関係)を積分して、その面積から求められます。
uukha-U100XのDraw Force Curveは、uukhaのホームページ(http://www.uukha.com/en/technologie-en.php)から、CurveをCopyし、引き尺28インチで32#になる相似のCurveを作ってみました。
普通のDraw Force Curveは、X軸が引き尺で単位はインチ、Y軸は弓の強さでポンドで表示されていますが、今回はこれを、X軸の単位をm、Y軸の単位をNに換算しています。
また、右側のY軸はN-m(J)の単位で、弓に蓄積されるエネルギーを示します。
青い線が、Draw Force Curveでブレースハイトからアンカーまで引いた時の弓の力(Weight)を示しています。
アンカーでは、引き尺29.5インチで34.2ポンド(749mm-152.4N (15.5kg))です。
この青い線を積分して求めた弓に蓄えられるエネルギー(台形近似で求めた面積)を、赤い線で示しています。 (アンカーで44.5N-m(J)です)
弓のエネルギーは弦・リムを動かすエネルギーにも使用されますので、矢に伝わる効率を95%と想定し42.2Jを矢に伝わるエネルギーとします。
矢の重さ m: 20g
エネルギー E: 42.2J
から、v(矢の初速)を計算すると
64m/sec、232km/h となります。(効率60%で184km/h)
私の引き尺は、29.5インチでこの初速になりますが、
28インチの場合、矢に伝わるエネルギーは、36.9Jで、初速は、60m/sec,213km/h
27インチの場合、矢に伝わるエネルギーは、33.6Jで、初速は、57m/sec,206km/h
26インチの場合、矢に伝わるエネルギーは、30.3Jで、初速は、54m/sec,196km/h
と、各々7%、11%、16%ほど遅くなります。
追記: 2015/06/25
効率95%は出来過ぎのようです。
弓の効率は70%-85%ぐらいみたいです。
70%とすると、矢速は0.85倍の199km/hぐらいになります。
また、へたな撃ち方をすると、さらに効率が10%ほど落て、0.8倍の184km/hとなります。
こちらの方が実感に合っています。
2019/5/17 追記
On the Mechanics of the Arrow:Archer's Paradox 1
B.W. Kooi and J.A. Sparenberg
に次のForce Draw curveが提示されていました。
このカーブは、リム等の質量・戻りの速さを考慮し、弦から矢に作用する力を計算により求めてたものです。
静的なFDC(上記に書いたカーブに相当)と 動的FDC(実際に作用する力)を比較したもで、このカーブの面積の差が、効率に相当します。
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