2017年5月26日金曜日

伸び合いを考える

リリース直前にアンカーから数ミリ引いて(押して)クリッカーを落とします

この動作は伸び合い・ファイナルドロー・エクステンション等呼び方が色々あるように、その実現の方法(意識)も色々あるようです。

具体的には、
  • アンカーに入れる時の引手の引き動作を継続させる意識で引く
  • 引手の肘を締める意識で引く
  • 押手を的に押し込む意識で押す
  • 引手の肘を背中の方向に回す意識で引く
  • 背中(バックテンション)を使う意識で押し・引く
  • 上記の複合技で伸びあう意識
----------------------------------------2017/05/29 追記------------
World Archery Coach's Manual : Entry Levelに伸び合いの肩甲骨等の使い方について幾つか例が記載されていましたので、箇条書きにて紹介します。

6.10. DRAW EXPANSION
Other common names for this essential technical skill: “Full draw efforts”, “Draw increase”, “Extension/expansion

Bow Scapula action:  押手の肩甲骨を動かす方法
  • 押手の肩甲骨を前(的側)に出す
Various String Scapula Actions: 色々な引手の肩甲骨動作

引手の肩甲骨では、伸び合いとして幾つかの方法がある
  • 肩甲骨を背骨側に寄せる
  • または、背骨から離す
  • または、動かさない
1. 引手の肩甲骨を背骨側に寄せる方法
1.1.引手の肩甲骨を背骨側に水平に寄せる、“BackTension”として知らている
1.2.引手の肩甲骨を尾骶骨の方向(斜め下)に寄せる
1.3.引手の肘を上側に動かし、引手の肩甲骨を上にあげる

2. 引手の肩甲骨を背骨から離す方法
2.1 引手の肘を水平に後方(的から離れる方向)に引く
2.2 引手の肘を水平より下向き後方(的から離れる方向)に引く
2.3 引手の肘を水平より上向き後方(的から離れる方向)に引く

3. 引手の肩甲骨を動かさない方法
引手の肘を水平に斜め後ろに引き、肩甲骨を動かさない(多くのアーチャーがこの方法を自然に行っている

などが記載されています。
---------------------------------------2017/05/29追記終わり------
等々ですが、どの意識(動作)も共通して、ドローイングで使用した背筋(背中の色々な筋肉)を用いて、両肩の肩甲骨を近づけるなど、猫背にしようとする弓からの力(矢筋のバランスを考える)に対抗して最後の数ミリを伸びます。

(写真は、Back tension: How to execute a shot with a recurve bow | Archery 360より引用 )


また、このとき両方の肩甲骨を背骨側に寄せる背筋(大・小菱形筋)は、肩甲骨の内側縁で前鋸筋と繋がっており(筋連結)、共同して働くことで肩甲骨を安定させています


菱形筋:肩甲骨に下方回旋と内転を起こす
前鋸筋:肩甲骨に上方回旋と外転を起こす

は,肩甲骨に対しまったく逆の動きを起こさせるものですが、相互に連携して肩甲骨(肩の位置)を安定させています。

また、菱形筋、前鋸筋とも肩甲骨を安定させるとともに肩甲骨(肩)を下に引く働きがあり、最後の伸び合が完成するときには、肩が少し下がっているはずです。

逆説的に言えば、伸び合いで肩をほんの少し下げることができれば、クリッカーが切れるかもしれません。

前に書いた、呼吸について考える息を軽く吐きながら、リリース(クリッカーを切る)とも符合します。

力を使っていない時、胸に溜まった息を吐くと、体の中の空気が抜け肩(肩甲骨)が自然に下がります。

背中の力を使っているときでも、菱形筋、前鋸筋の働きで肩甲骨が安定(静止でバランス)している状態で、体の空気をぬけば、肩が自然に下がり伸び合が完成し、クリッカーが落ちることになります。

と言うことで、私は、伸び合の時、息をを吐くことを意識しクリッカーを切るようにしています。(このとき、引く・押すの力を決して緩めてはいけません、緩めては、息を抜いただけではクリッカーは切れません。)

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