2016年7月7日木曜日

弦のあたりで押手を学ぶ

学ぶシリーズ 013

弦が押手に当たると痛いので対策を考えます。
ます、自分の押手の腕の形を確認しましょう。

腕を伸ばした時に肘が、
① ほとんど180°になる人(特に呼び方はない)
② 180°よりさらに肘が開く人(猿腕の人
③ 180°に到達しない人(ロッキング症状)


②は女性に多い腕の形です。
(画像:https://moteco-web.jp/diet/20139 より)

③は肘関節の炎症(スポーツ、重労働)、肘関節内骨折などによる症状・障害です。
私は、③ですが、今回の検討からは除きます。

アーチェリーは、「弓を押す」で、①の人は普通に腕を伸ばして、弓を押せばほとんど問題(注)は発生しませんが、②の猿腕の人は前腕が弦の軌道に入り、弦が当たり痛い思いをすることがあります。

注) ①の人でも肩を入れたり、グリップの押す位置が悪いと弦が腕にあたりますが、正しいグリップ及び肩の位置とすれば弦は当たらなくなます。
緑の線が猿腕の人の腕のライン
腕に弦が当たるその傾向と対策を考えてみます。

傾向: 弦が押手に当たるのは、前腕が弦の軌道に入るためです。

対策:
  • 弦の軌道を変えるか、
  • 腕の位置を変れば
当たらなくなります。(とっても簡単です)

弦から矢が飛び出すまでの軌道は、パラドックス に書いたように、リリースの時、弦が指に沿って
左(右ききの場合)の方向に離され、押手の腕に近づきながら逆S字を描きます。

この逆S字の弦の盛り上がりを少なくできれば、弦が腕に当たるのを防ぐことができます。

方法として、

  • きれいなリリースをする
  • ブレストハイト(ストリングハイト)を上げる
などがあります。

きれいなリリースは、弦が滑るときに完全に指の力を抜き、弦の引っかかりを無くせれば可能ですが、一朝一夕にできものではなく、速攻性のある対策ではありません

ブレストハイト(ストリングハイト)がメーカーの推薦範囲内で腕に弦が当たるなら、弦が腕に当たらないようにハイトを上げる緊急対策があります。

ブレストハイトを高くすることにより、

  • 弦の逆S字の盛り上がりを前腕の当たる部分より体側(引手側)寄せる
  • 弦の長さを短くし、張力を上げることで盛り上がりの高さを低くする
により、前腕に弦が当たる可能性を抑えることができます。
矢のグルーピングなどにハイトの高さは影響しますが、腕に弦が当たるという問題の解決を優先した方がよいと思います。

射形の矯正(肘を返す等)ができ、リリースがきれいにできるようになれば、ブレストハイトをもとに戻すことができます。

次に、前腕を弦の軌道から外すには、一番弦に近い肘の部分を弦の軌道から遠ざけるのが効果的です。

方法として

  • グリップを持つ手の甲を地面に対し傾ける
  • 押手の肘を返す
  • 押手の肘を全く返さない
などがあります。

グリップを持つ手の甲を地面に対し傾けるは、

  • 押手の前腕全体が少し弦の軌道から離れる
  • 押手の肘の内側の窪みの傾きが少し垂直に近づき、少し弦の軌道から離れる
の効果があります。

これは自然に肘が少し返り、特に練習をしなくても、グリップの形を注意するだけで、肘を返す効果を得ることができるようになります。

次に、押手の返しを考えてみます。
押手を返す場合は、上の図のように「
グリップを持つ手の甲を地面に対し傾ける」を併用すると効果的です。

まず、押手の肘を返さないで普通に腕を上げると、肘裏の窪みを通る線(下図の矢)は水平に対し45°くらいになると思います。



肘を返すと、肘裏の窪みを通る線(図の矢)は垂直方向をさします。
この角度の変化により、肘の関節の弦側に出ていた部分が、真下を向くことになり、弦から離れ当たる可能性を低くします。

この肘を返すは、弓を持たずに上の写真のような練習をすることで、短期間でできるようになると思いますますが、弓を引きながら習得するのは難しいと思います。




肘を返す体験は、バレーボールのレシーブのように、両手を前で組んで、肘を両側に広げて肘をひねります。

このひねりで、肘の先が水平に対し45°から真横に向を変えます、これが肘を返すことで、肘を返す体験ができます。

肘を返すことが実感できたら、上の写真のように柱の角などで、肘を返す練習をします。(45°を向いている肘先を真横に向ける練習)

うまくできるようになったら、実践で試してみます。



ここまでの3つ(ハイトを上げる、手の甲を傾ける、肘を返す)を併用することで、ほとんどの人
は弦が当たらなくなると思います。

それでも弦が腕に当たるような極端な猿腕に、「肘の返し」で対応するには肘先が上を向くくらいに返すしかありません。

しかし、極端な返しは矢筋と違った方向に回転の力を大きく掛けなければならないため、肩が入りさらに押手が弦に当たる悪循環に陥ることがあります。

最後の方法として、「押し手を返さない」です。
猿腕の人は腕に力を入れ突っ張ることで、肘が180°以上に開いてしまい、肘の出ているところが弦の軌道に入っていきます。



究極の「押し手を返さない」は、腕に力を入れ突っ張るをやめて、押手に力を入れずにやや腕を曲げた状態で弓を引くことです。

力を入れなければ、肘が開くことはなく、肘が弦の軌道に入らなくなります。

この射形は、押手をやや曲げて押手の肩を下げますが、習得するのはかなり難しいと思います。(私はうまくできません

練習方法は、肘を返さずに、肘を軽くV字に曲げて柱を押し、力を使わなくても骨だけで押す感覚を掴み、肩の力を抜き、押される力を骨で固定するイメージです。

と、実践できないのでイメージだけ書いておきますが、これが理想の押手かもしれません。

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