今までの得点データを眺めていてちょっと疑問に思ったことがあったので、整理してみました。
約10,000本の30m-80cm的の行射データがあり、1本の平均は8.4点、σは1.2、36本の行射の合計は平均303点です。
このデータを、的の点数を横軸に、縦軸に点数ごとの得点を棒グラフしてみました。(10,000本の平均値です)
このグラフに、平均8.4点、σ1.2の正規分布のラインを加えてみましたが、全く一致しません。
多くのサンプルデータがあれば、その分布は正規分となるはずですが、なぜでしょうか。
理由は、正規分布は1次元データの分布を表しますが、アーチェリーの的は同心円の帯のどこに当たるかかで得点が変るため、2次元データで処理する必要があります。
帯の面積は的点(得点)が上がるに従い狭くなり、当たる確率も低くなるよういなっています。
アーチェリーは、的の中心を狙って得点を争う競技ですから、多くのサンプルデータがあれば、的の中心付近に矢が密集しますが、高得点はその面積が狭いため当てるのが難しくなり、300点クラスのアーチャーでは、10点は9点(面積は、10点の3倍)に比べ少なくなります。
そこで、極座標(円盤上のデータを扱う座標で、的点を的の中心からの半径に変換)上に正規分布を表示するように変換し、分布を記入してみました。
平均半径は的の中心で半径0としています、グルーピングの中心は的の中心になる(はずです)。
この分布は、図に示す通り実際の得点分布と非常によく一致し、アーチェリーの得点は、自然の分布法則に従っていてることになります。
アーチャーが技量を磨き、標準偏差σ(矢のグルーピングの大きさを計る尺度)を小さくすることで、矢は10点内に密集し高得点が期待できます。
グルーピングの径を如何に小さくするかが、練習の最大課題となります。
実際、σ=0.8にすると、330点が期待できます。
次は、この分布を使って、30mのデータから50m、70m、18mの得点分布を推計する方法や、18mの矢の太さを9mmにするとどれだけ点数アップするかなどを検討してみます。
注)
ここで記載したσは、1次元の分布の標準偏差σ(スコアーカード得点のばらつき)を使っています。
このσを極座標のσr(的の中心からの距離のバラつき)に変換するには、σr=√2xσの関係を利用します。
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