2016年6月28日火曜日

指の形で取かけ(引手)を学ぶ


学ぶシリーズ 012

良い取りかけは、リリースまで滑ることなく、しっかり弦を引き、矢筋の方向以外に余計な力を弦に作用させないことです。

指の本数、取りかけの仕方についてルール上は何ら制限はありません。握ろうと、滑れらせようが、5本の指を使ってもよいことになっています。

しかしながら、3本の指(指示指、中指、薬指)以外を使っている人を見かけることは稀です。
私は初めから2本の人は見たことがありませんが、アンカーで2本になる試してみたことがあります。

では、なぜ3本の指を使うのが一般的なのでしょうか?

1. 1本では大きな力に耐えられない
2. 小指は力がないので、あってもなくても同じ、短いし
3. 親指は、弦に届かない
4. 2本より3本の方が???(理由が見つかりません)

で、3本なのかと思いきや、2本でも弓を引くことは十分できます。(なれの問題かもしれません)

手の形は十人十色で、取かけはアーチャーの数だけ存在します。

もし、指の長さがほぼ同じであれば、指の第一関節も同一ライン上なるので、理想の取りかけは、3本(指示指、中指、薬指)の第一関節に弦をかける教えれば終わりです。

実際は指の長さに差があり、取りかけの位置や負荷のバランスをどうするか難しい問題が発生します。

私は以下のような一般的な取かけです。
  1. 指示指は矢の上
  2. 中指と薬指を矢より下
  3. 弦は指示指と薬指の第一関節に、中指は、第一関節と第二関節の間
  4. 指示指が矢に触れ、中指がわずかに矢から離れる
  5. 親指の先が指示指の先に付く
  6. 小指は軽く折り曲げる
  7. 指の第一関節と掌が同一面
1,2は、教えられたことを疑わずに今も守っています。
3.は、自分の指に合わせていろいろ試してみた結果です。

4.は、レストダウンを起こさないように、矢に当てる指は指示指にしています。
中指で上向きの力を矢に与えると、矢はレストから確実に浮き上がります。(レストは上からの力には耐えられますが、矢が浮く方向には無力です)(下の図

5. は、親指で指示指の位置を決め、握り込みを防止し、指が常に一定角度で弦に当たるようにしています。

6.は、現在模索中(ピンキーレストをやめたので)

7.は、手のに力を入れずリラックスさせるための方策です。

負荷のバランスは特に意識したことはありません。指の形と引手の肘の高さで自動的に決まります。

また、リリースまで指の形は変えないように努力していますが、中指の弦は第一関節側に少し滑っていきます。

今日は、理論的な学ぶは、自由支持の問題のみ(下の図)
中指で矢を押すと矢はレストから落ちる。(指示指は落ちない)
左側の▲がレスト、右側の▲▼がノッキンクポイト、 ⇒中指、黒い棒は矢

2016年6月22日水曜日

前鋸筋で押手の伸びを学ぶ

学ぶシリーズ011

アーチェリーの一流選手と普通の人との大きな違いは、脇の下の筋肉(前鋸筋(ぜんきょきん)が発達しているところだと言われています。

前鋸筋は、脇腹の肋骨と肩甲骨の裏をつなぐ筋肉で、肩(肩甲骨)を外側に押し出します。




The Serratus Anterior muscle controls the scapula when extending prior to the release.

☜リリース前に伸びるとき、前鋸筋は肩甲骨を制御します





前鋸筋をうまく使えば、楽にクリッカーが切れ鋭いリリースが可能になりますが、前鋸筋は意識して動かすことが難しい筋肉です。

前鋸筋が動いていることを感じるには、
  1. 腕を「前へならえ」のように出します
  2. 肩が動いていない状態から、腕をさらに伸ばそうとしてみてください
  3. 肩が前に出ていきます
  4. 片方の手で、突き出ている腕の脇の下を触れると、筋肉に力が入っているのが感じられます
  5. この筋肉が、前鋸筋です
肩甲骨は
  1. 挙上(肩をすくめる)
  2. 下制(床を押してお尻を持ち上げる)
  3. 上方回旋(腕を上に挙げる)
  4. 下方回旋(腕を下に下げる)
  5. 外転(腕を前に出す・胸を閉じる)
  6. 内転(腕を後ろに引く・胸を開く)
という6通りの動きがありますが、
前鋸筋はこのうち肩甲骨の外転運動を行います
肩甲骨の外転運動は体の中央に寄っている肩甲骨を外側へ開く動きをし、伸びきった腕をさらに外側へ押し出す力も前鋸筋です。
ぎりぎり手が届くようなものをつかもうとするときに最後に伸ばす動きをするのはこの前鋸筋です。

エアー素引きで引手を学ぶに書いたように、弓を引く引手は内転運動で広背筋(広背筋で引手の肘を学ぶ )を使いますが、リリース前の伸びは、前鋸筋を使って肩を外側に押す外転運動でクリッカーをおとします。

引手側でクリッカーが落ちる寸前まで引いている状態で、クリッカーを落とす距離はほんの数ミリなので、前鋸筋でほんの少し肩を外側に動かすことさえできれば、自分のタイミングでクリッカーを切ることができます。

前鋸筋を意識して使うことができれば、簡単な話ですが、前鋸筋は意識して動かすことが難しいので別の意識の仕方を考える必要があります。

私は、クリッカーを切るタイミングで、押手の親指と指示指を、脇の下を意識しながら、さらに前下に出し届かないものに触る意識 (押手を押す意識はだめ、肩が上がり震える)をすることで、肩が外側に動くようになり、クリッカーが1cmほど後ろにさがりましました。

意識の仕方は、それぞれなので、押すのではなくて伸ばす意識の仕方を考えてみてください。(このとき、引手がわの引き続けるを忘れずに!!)

クリッカーの切り方(伸び方)にはいろいろ流儀があるようですが、

<私の場合は、 押手---外転、引手---内転 です。 

2016年6月16日木曜日

広背筋で引手の肘を学ぶ

学ぶシリーズ 010

引手の肘の高さは、「目と唇の間」にあるのがよいとされています。
最適な高さは、その人の骨格によって決まるため「目と唇の間」で、快適に感じる高さであればよい訳です。

引手の肘を高くしすぎると、引手で自分の肩を引っ張り上げます。
押手・引手とも肩は出来るだけ低く保つ事により、リリース前の最後の伸び合が可能になります。

肩が上ると引尺が短くなり、引手の肘の高さを考えるにあるように、引手の手首に力が入り、余計な力が矢に働きます。

引手の肩が上がらない、肘の高さは、後ろから見た時水平線に対し45°ぐらいです。


この高さが、目の高さと大体同じになります。

では、低い方はどこでしょうか。

やってみれば分りますが、引き手の肘を矢より低くしてドローイングすると背筋を使う事が出来ず、腕の力で引くことになります。

腕で引くと引手の手首・指に不必要な力が入り矢に余計な力を与えます。
また、腕で弓を引くと身体を壊す原因となり、アーチェリーを続けることができなくなります。

では、なぜ肘を上げないと背筋が使えないのでしょうか。
弓は背筋を駆使して引きますが、広背筋が主役になります。

広背筋は脊柱と骨盤後部から上腕骨(上腕)をつなぐ大きな筋肉で、いわゆる逆三角形を形作る主な筋肉で、腕を後方・下方に引き寄せます。

この広背筋は、バックテンションを体感してみるに書いたように懸垂(チンニング:肩幅より広い手幅で、順手で行う懸垂)をするときに使う背中の筋肉で、両腕を下におろし、おしりの所で合わせると完全に緩みます。広背筋は腕を下げれば緩み、上げれば緊張する筋肉です。


上腕骨(上腕)を広背筋が引く様子を図式化したのが下の絵です。


この絵は、右利きの人が弓を引くときの力のバラスを背中側から見たものです。

1.黄色の矢印: 
引手に掛かる弓からの反力で、前腕を通じて引手の肘に作用します。 この時、脱力した前腕はロープのようになり、力の方向に一致します。(骨は引く力には無力です)

2. 赤色の矢印: 
黄色の力が肘に作用すると、力の一部が肘の関節を通じて上腕骨を押す力となります。
前腕と上腕には角度があり、残りの力は、肘を前に戻す力となります。

3.緑色の矢印: 
上腕骨は肩甲骨で支えられ肘が体の方に動くことはありません。(骨は、押す力に棒として働きます)

4.薄い赤色の矢印: 
上腕骨に繋がる広背筋に力を入れると、上腕骨(上腕)を後方・下方に動かす力が働き、肘を前に戻す力を打ち消し、肘を背中の方向に動かします。
最終的にはこの力で矢筋を通します。

引手の肘が、矢より低いと(前腕が下を向くと)、広背筋の力がうまく働がず、肩甲骨で上腕骨を支えることも出来ず(肩が上がり)、腕の力で弓を引かなけばならなくなります。

引手の肘が低いと押手の押す力と引手の引く力のバランスが崩れ、引き尺が短くなり良いリリースはできません。

肘を高くすることで:
  1. 肘を前に戻す力を消し、矢筋を通すことができる
  2. 肩甲骨で矢を引く力を支える事が出来る(筋力がいらない)
  3. 肩が上がらない
  4. 最後の伸び合いができる
  5. 強い弓が引ける
の特典がついてきます。

引手の肘はドローイングの開始前から、リリースまで目の高さにあるよに意識することで、最終的に「目のと唇の間」に入ると思います。

また、ドローイングを肘でする意識を持つと、広背筋を上手く使えると思います。