2016年7月29日金曜日

ティラーハイトでセティングを学ぶ(その1)

学ぶシリーズ 016

自分の弓を買って最初に行わなければならないのは、行射できるように弓を設定(Basic Setting)することです。

まったく初めての場合は、ショップにお願いするか、射場の指導員等にお願いしてください。

まず、Tuning(実際に矢を射て調整すること)の前にする設定(Basic Setting)の例を見たいと思います。(一部ショップのサイトにリンクしています)


この中で、直感的に理解できないのが、Nocking Pointがレストより上にあり矢が下を向くことと、Tiller Heightの上下差だと思います。
これについては、次回のその2で考えてみます。(Basic Settingが長くなりすぎて時間切れです)

0. 必要なものを調べる
・ハンドル (リムボルトの高さが上下同じか調べます)
・リム(上下でマークが違います、取り付けを間違わないように)
・レスト(両面テープも必要)
・プランジャー(ねじが沢山ついています、役目と使い方を覚えます)
・弦(上下があります)
・矢
・Tゲージ(T型の定規)
・ストリンガー(弦を張るひも)
・調整工具(主に六角レンチ)
・サーピングの糸(ノッキングポイト用)

1. 弓のセンターをチェックする(調整する)
弓を組み立て、弦を張った状態で弦が弓(リムとハンドル)の中心を通ているか調べます。
詳しくはこちらに載っています。また、センター調整ネジの使い方は取説等に記載されています。

弦が弓のセンターになくても設定は可能ですが、調整の再現性を確保するためには、弓のセンターと弦を一致させておいた方がよいと思います。

弦を見る方向が狂うと、センターも狂って見えます。再現性のあるセンターを出したい場合は、レーザー等を使用すると良いかもしれません。

2. ノッキングの強さを確認する
2.1 弓を下向きにして、弦のセンターサービングに矢を番えます
2.2 下を向けた状態で矢が落ちないことを確認します
2.3 指で弦を強く弾いたとき、矢が落ちることを確認します

弦を購入するとき、使用するノックに合っている太さの弦を購入すれば、2.2と2.3はクリアーできます。

自然に落ちたり、弾いても矢が落ちない場合は、矢のノックを代えるか、サービングの太さをかえます。

3. レストをつける
プランジャーと干渉しないように、水平に取り付けます


4. プランジャーをつける(SHIBUYA DXプランジャーの場合)
4.1 ばねは中間の強さを使います
   また、テンション調整ネジで強さを中央に調整します
4.2 センタースライダーで矢のポイントを弓のセンタに一致させます
   (Full Center)
4.3 レストを調整し矢の中央にプランジャーピンが来るようにします

4.4 アルミ矢の場合は、センタースライダーで1/4回転分矢を左に出し、カーボンの場合は、Full Centerのままとします

レストから矢が自然に落ちないように、レストピンには傾斜がついています。 上から見たとき矢より外側にピンが見えないように調整します。
   


ノッキングポイントの測り方は、ノッキングポイントを考える参照。
4. ノッキングポイントを作る
4.1 高さを決めます(5mm FITA Manual
4.2 下側のノッキングポイントを作ります
4.3 上側のノッキングポイントを作ります
4.4 幅は矢のノックが入り、ガタがなく、固くもない幅とします
4.5 ノッキングポイントに矢を番え、2を再度確認します

ノッキングポイントに金属製のものを使うのは避けた方がよいと思います、弦の中央が重くなるため矢速が落ちる場合があります。

弦のセンターサービングの糸と同じ太さのサービング糸を使うと、移動可能なノッキングポイントを作りことができます。

弦のサービングがボルトの役目をし、ノッキングポイントがナットの役目をします。

ノッキングポイントのTuningが終わった後に瞬間接着剤を一滴たらし、固定します。(なくても自然には動かないが、念のため)

5. サイトピンを弓のセンターに合わせます 
弦、弓の中心、サイトピン、矢のポイントが一直線上にくるようなったはずです。


6. Brace Height(ストリングハイト とも言う)を調整する

弦をねじることによりBrace Heightを調整します。
設定値は、弓の取り扱い説明書にある値の範囲で、中央値より上(中央値と上限の間)の値とします。

少し高めの方が、クリアランス(矢と弓の間隔)の問題が発生しにくいと思います。

Brace Heightの調整により矢が弦から離れる位置を調整することができ、低い方が矢速は早くなりますが、高い方が矢の振動が小さくなります。

7. Tiller Heightを調整する
Tiller Heightは絶対値ではなく、左図のa(上側)-b(下側)の値を求めます。

Tiller Heightをプラス側(Positive Tiller a>b)にする方が多いと思いますが、現在は、0が主流かもしれません。


山本博氏の講習会記録には
○ティラーハイト 
・今の弓はティラー差0で良い(動的ティラー差も) 

の記述があり、

FITA Coach’s Manualには
Recently most archers adjust the tiller to zero. 
(最近、ほとんどのアーチャーはテイラーを0に調整する)

の記述があります。

シューティングテクニックを学ぶ の異端のアーチャー(世界チャンピオンの秘密と技術)には、
 -----------------------------------------------------------------------
ティラーの起源は、スタビライザーやテイクダウンボウ、リム調整ボルトなどが存在しなかった何百年も前である。

弦を引く手と弓を持つ手の位置が違ったため(弓を持つ手が下にくる)、もし弓がしっかりと握られたとき、上リムの方が下シムより強く働く。つまり矢が放たれたとき、より長い距離を動かなければならない。

両方のリムがまったく同時に「ピッタリ合う」ようにするために、下リムは上リムよりも強く作られた。これは、弦の上下のリムまでの距離の差と解釈され(今でも伝統的な弓には適応する)、ティラーと呼ばれるようになった。

途中略

自然にティラー差を持つリムの生産をやめることとなった。下リムがより高いドローウェイトで作られることはなくなった。
今現在では、ほとんどのリムが、上リムと下リムでまったく同じドローウェイトを持っている。(誤差はあるが)

リムボルトを使って弓のティラーを変えることは、現実には、ドローウェイトを変えることではなく、ハンドルにたいする角度を変えるだけである。理想的でないが、実際、角度が変われば上下リムはそれぞれ違う動きをする。 現代の弓においてティラーを調整することは、「弓を引いている時は完璧にバランスが取れているが、動的なレベルにおいて完全に不安定である」と言う馬鹿げた状態に陥る可能性がある。

途中略

最善の方法はティラーをいつも0にすることである。こうすることによって、両方のリムがハンドルに付いた時に同じ状態で働くことを保証できる。

つまり、ティラー差よりも、上下リムの差し込角度が同じである方が大事だ。

----------------------------------------------------------------------------

と、色々ですが、Tiller Heightを0から数ミリに合わせます。

これで初期設定は終わりです、再度 4~7までの寸法を確認します。
Tiller Heightを調整すると、Brace Heightが動くことがあります。

ちなみに、上で参照した数値が載っている資料の初期設定値は次のようになっています。(ハンドル25”、ロングリム の組み合わせの70”の弓の場合)(単位はmmに変換)


項目
私の設定値
Bow Tuning tests
ゴールドプラン
FITA
Manual
EASTON
Gide
Brace Height
238~240
メーカ推奨値幅の上から1/4のところ
222~235
217~225
(注1)
217~225
(注1)
Nocking Point
7.6
3-5
またはTiller Heightと同じ
0(A)
1.6(C) (注2)
上下の幅 
3.2~4.8
5
15.3
Tiller Height
3.0
出荷のまま
3.2~6.3
 0
-
Arrow Centering
1/4(注4)
やや左
1/4(A)(注3)
0(C)
 やや左
弦の右端とポイントの右面が一致
 やや左
Plunger
Spring tension
注5)
50%
ネジ 1/16+
注6)
--40%50%

注1) Tuning前の値、Tuning後の推奨範囲は、216mm~248mm
注2) プランジャーの中心から、下のノッキグポイトまで、A:アルミシャフト、C:カーボンシャフト
注3) アルミシャフトは、プランジャーのセンタースライダーで1/4回転分左に出す、
    カーボンの場合はFull Center
注4) ポイントの1/4の幅だけ左に出す
注5) プランジャーの設定可能なばね圧の最小を0%、最大を100%とした場合のばね圧
注6) 中圧のばねで、中央より、圧調整ネジを1/16回転+側に回す(SHIBUYA DXプランジャー)

私の設定値(Tuning後の値)以外は、Tuning(実際に矢を射て調整すること)前の初期設定値でこれからTuningを開始し、一番グルーピングがよくなる組み合わせを探します。

さて、前置きが長くなりました、その2で本題のティラーハイトについて考えてみます。

2016年7月22日金曜日

練習目標を学ぶ

学ぶシリーズ 015

今回は、私の辿った道(練習目標)を説明します。誰にでも適用できるとは思いませんが、参考になればと思います。

できるだけ本数を、と言うコーチもいますが、果たしてそれがすべての人によいことでしょうか。他に何か効果的な練習方法はないものでしょうか。

何も考えずにただ本数を多く練習するよりは、目標をもって練習する方が効果的(上達が速い)であると考えます。

目標とは、高い点数ではありません。結果として高い点数を得ることができるように射形の改善目標です。

改善目標を「理想の射形」にしてはいけません。まずは、人が見てすぐに分かる悪い点を一つ一つ潰すように意識して練習します。

例えば、「ハンドルを握るな」とコーチに指摘されたら、他のことは忘れて、握らないことに意識を集中して練習し、無意識にできるようにします。

それができたら次の目に見える欠点、を意識し無意識にでできるまで練習します。
そのとき前の欠点がまた出てきます、その時は2つを意識して練習します。

たくさんのことを意識しなければならないときは、練習後に練習記録をつけて、改善ずべき点をメモし、達成できたら消していくとよいかもしれません。

サンデーアーチャーのコーチが見つけられる点は
  • ハンドルを握るな
  • 体の軸が曲がっている
  • リリースが荒い(ひっかかる)
  • リリースが戻る
  • 引手の肘が下がっている
  • 押手を止めろ
  • 力むな(指、肩に力が入っている)
  • フォロースルーをしっかりとれ
  • 射るのが早すぎる
  • 狙いすぎる
  • アンカーが動く
  • 弦を鼻につけろ
  • 弓が傾いている
等々、目に見えるものばかりです。

そんなことを3月ほど続けると、サンデーアーチャーのコーチにみつけられる欠点はなくなり、コーチに注意されることもなくなると思います。

そこからは、自分で目標を設定して、日々改善を楽しみます
そんな、改善を楽しむサンデーアーチャーの練習目標を紹介したいと思います。
シューティングテクニックを学ぶ で異端のアーチャー(世界チャンピオンの秘密と技術) と言う本に触れました、この本の中のトレーニングについて次のような記述があります。

------------------------- 引用---------------------------------
トレーニングの6つの法則
  1. プロのアーチャーでなければ、練習で射る矢の本数のことは忘れて、「質の高い練習に徹する方がよい。
  2. .悪い射はうちつづけないこと。その代わり良い射はうち続けなさい
  3. どのようなミスショットも、二本以上続けてはいけない
  4. Xに入る射の射形の綺麗さと再現性は最も重要事項目である。
  5. 悪いシューティングで結果的に的に入ったXは、よくない。
  6. アーチャーの””は、それまでにうった射の数ではなく、”良い射”から”悪い射”を引いた数と直線的な相関関係があり、それによってアーチャーの”質”は無限に伸びる。
-------------------------引用終わり--------------------------

これを数式で表せば、

  質の高い練習 = 良い射 ー 悪い射
  腕前(質) = 質の高い練習xa + b (直線的相関の数式化)

aは正の数値、bは定数。 早い話、腕前は、質の高い練習量に比例すると言っています。

1日の練習で、100本うち、50本が良い射、50本が悪い射なら練習量は100本でも、質の高い練習量は0本と言ことで、悪い射の本数の方が多ければ、無意味な練習となるばかりか、腕前を後退させる練習と言うことになります。

本数の多い練習量(合計の射の量)は、経験値を上げ、身体的能力を上げるのには有効で、体のトレーニングとして意味あることだと思いますが、我々のように趣味としてアーチェリーをしている人(体力増強も、国体・オリンピックへの出場も目指していない人)こそ、少ない練習量で腕前を上げるために、質の高い練習をすべきとだと考えます。

では、質の高い練習とはどのよなものでしょうか、

    Xに入る射の射形で、綺麗さと再現性がある射形

と言うことになりますが、サンデーアーチャーにとっては、1日に2-3本でも納得の射形でXに入れば御の字と言うところです。

私は、Xでなくても、納得の射形で自分が望む得点より良い点数が出ればよいと思っています。

では、私にとって納得の射形とは、
  • 楽に射ができること
  • サイトがピタリと止まること
  • フォロースルーが理想の形になっていること
  • 課題の修正がうまくできていること
最後の課題とは、30金が出た時の射形の記憶からの違和感を無くすことです。

小ネタ特集にある、 よい射を覚えて、悪い射は忘れろ を実践し、良い射の記憶と比べ違和感がないように射を行うようにしています。

また、点数については、30mで8~10点を設定して練習をしています。

8点となった時は、9点のOnLineに近ければよしとし、7点に近い8点と7点以下の場合は、どこが違っていたかを考え、次の射(次のEnd 注)で修正するように努力します。

注) 肉眼では、どこに矢が刺さったかわからないので、次のEndで修正するため、違和感を頼りに修正します。(現在の私の違和感は、主に尺屈の強さです)

なぜ、7点を判断基準としているかと言うと、練習(約2時間半、100射)で3-4本の7点が出ます。 この7点を何とか撲滅したいと現在努力中です。

9点を判断基準したら、1日中反省をしていなければなりませんし、目標はくです。

7点がでなければ、統計学入門 その3 (バラつきと得点の関係)に書いたように330点がコンスタントにでるようになると思います。


7月の点数記録(30m 36射)
7/7     329点 8点3本 7点2本
7/12 332点 8点3本 7点1本
7/14 325点 8点7本 7点1本
7/14 331点 8点5本 7点1本
7/16 334点 8点5本 7点1本
7/21 322点 8点8本 7点2本
7/21 326点 8点5本 7点1本
7/21 332点 8点5本 7点0本
平均 329点 8点5本 7点1本

出そうで出ない「7点なし」です。

そんなわけで、サンデーアーチャーのコーチになにも指摘されなくなった人は、練習中にたまに出る例えば、
  • 200点代の平均点の人は、2点から4点以下
  • 300点平均の人は5点以下
  • 310点平均の人は6点以下
  • 320点平均の人は7点以下

の悪い点を撲滅するための練習目標を考えてはいかがでしょうか。

平均点は高いが、時に大外れをする人は、まず、大外れの撲滅が先になります。 大外れは、目に見える問題点があるはずです。

よい射を覚えて、悪い射は(反省してよい射にして)忘れろ! です。

がむしゃらに練習せずに、自分の射を自分の五感で見直し練習してみてはいかがでしょうか。
1日の練習で反省する射は、10本以内のものに限定しましょう、反省ばかりでは楽しくありません

反省する点はなんでもかまいません、前記のサンデーアーチャーのコーチが見つけられる点 に相当するもので、些細な動きで発見できない射形の欠点が大半です。

実際の外れた原因と違っていてもかまいません、自分で変だと思ったところを直しましょう。

340点を超える人によれば、気持ちの持ち方の問題などと言う次元の違うことを言う方もいますが、当方理解はできません。(一度理解してみたい)

2016年7月13日水曜日

弦サイトで狙うを学ぶ

学ぶシリーズ 014

弦サイトについて考える」で、弦サイトの目的は、利目と弓の左右の位置関係を常に一定とし、狙いの精度を高めることと書きました。

また、「アンカーで狙うを学ぶ 」では、アンカー位置と目の位置を常に同じにすることで、的を狙う四角形を一定に保つことができると書きました。

では、アンカーと目の位置関係が変わると弦はどのように見えるかを考えてみます。

利き目にカメラをつけて、動画を撮ればすぐにわかりますが、装置がないので二枚の絵で代用します。

左(1)は、目、弦、サイト、的のすべての中心が同一ライン上にある時の弦の見え方です。

弦の中心と瞳(視線)が同一線上にあるので、あご先に付いた弦(アンカーポイント)の位置は、瞳(視線)の真下に来ています。

サイトの中心に弦があり狙いにくいですが、弦はぼやけているので、的を狙えないこともありません。

右(2)は、視線をサイトの中心に置きながら、目を少し左に動かした(気持、顔を左に傾けた)時の弦の見え方です。

視線をサイトの中心に置いていても、目の位置を動かしただけで見え方は変わります。

弦は右側に大きくずれています。 これは、弦が目の近く(3-5cmの距離)にあり、視線からずれる角度が大きく、大きく移動して見えます。

一方、的は、目からの距離が弦に比べて遠く(目から30m先)視線からずれる角度が小さいので、ほとんど動いては見えません。

このように、少し目の位置をアンカーポイントから左右に動かしただけで、弦の見える位置が大きく違って見えます。
この性質を利用して、弦がハンドル上に見える位置を常に一定にすることで、目とアンカーポイントの相対位置(水平距離)を一定に保つ狙い方が、弦をサイトとして使う方法です。

さて、目のアンカーポイントからの水平方向のずれが、どれくらい弦の位置のずれとしてあらわれるかを計算してみます。

私の弓・体の大きさを計測したデータを用いて計算してみます。

目から的までの距離: 30m (30,000mm)
目からサイトまでの距離: 90cm (900m)
目からハンドルまでの距離: 61cm (610mm)
目から弦までの距離: 4cm (40mm)
目とアンカーポイントの水平距離: 1mm (左に目が1mm動いた状態)

関係を上から見たところ(的方向と直角方向で縮尺がちがいます)(的付近はNone Scale)




計算結果は、(1)のすべてが中心にある状態から、目の位置が1mmずれると(2)の状態となり、弦がハンドル上のアンカーポイントから約1.4cm(14mm)の位置に見え、視線の中心は、的の中心から約3.2cm(32mm)右にずれた位置となります。

この状態で、サイトを的の中心に合わせる(3)と、実際の矢の向きは的の中心から左に32mm外れた位置に飛んで行くように設定され、完璧なリリースをしても、矢はXを外れて10点の9点よりに刺さります。


このように、アンカーの位置が正確でも、アンカーポイントと目の距離が変化すると矢は狙ったところへは飛んでいきません。

アンカーポイントと目の距離が変化する(弦サイトがずれる)原因として考えられるのは、

  • アンカーポイントが顔の決まった位置にない
  • 顔向けが変化する
  • 顔が左右に傾く
  • グリップを握り弓をねじっている
等が考えられます。

理想的な弦サイトの位置はありませんが、ドローイング中に顔向けを動かさず、アンカーに入ったとき、ピタリといつもの位置に弦が見えることが重要です。

弦サイトを合わせるために、顔向けを動かすことは最小にしなければなりません。顔(視線)を動かすと、体軸も動き体の傾きを生む原因となります。

ちなみに私の弦サイトは、計算上の目とアンカーポイントのずれが0.7mmの位置です。(左の図)


蛇足ですが、アンカーポイントと目の上下の位置関係は、弦が鼻の頭につく強さで確認しています。

・強すぎると: あごを引いているので、目とアンカーの距離がちじみ、矢は下に行きます
・当たっていないと: あごを出しているので、距離が延びて、矢は上に行きます

顔のあごを強く引く、出すの違いで点数的には、1点弱程度違ってきます。

2016年7月7日木曜日

弦のあたりで押手を学ぶ

学ぶシリーズ 013

弦が押手に当たると痛いので対策を考えます。
ます、自分の押手の腕の形を確認しましょう。

腕を伸ばした時に肘が、
① ほとんど180°になる人(特に呼び方はない)
② 180°よりさらに肘が開く人(猿腕の人
③ 180°に到達しない人(ロッキング症状)


②は女性に多い腕の形です。
(画像:https://moteco-web.jp/diet/20139 より)

③は肘関節の炎症(スポーツ、重労働)、肘関節内骨折などによる症状・障害です。
私は、③ですが、今回の検討からは除きます。

アーチェリーは、「弓を押す」で、①の人は普通に腕を伸ばして、弓を押せばほとんど問題(注)は発生しませんが、②の猿腕の人は前腕が弦の軌道に入り、弦が当たり痛い思いをすることがあります。

注) ①の人でも肩を入れたり、グリップの押す位置が悪いと弦が腕にあたりますが、正しいグリップ及び肩の位置とすれば弦は当たらなくなます。
緑の線が猿腕の人の腕のライン
腕に弦が当たるその傾向と対策を考えてみます。

傾向: 弦が押手に当たるのは、前腕が弦の軌道に入るためです。

対策:
  • 弦の軌道を変えるか、
  • 腕の位置を変れば
当たらなくなります。(とっても簡単です)

弦から矢が飛び出すまでの軌道は、パラドックス に書いたように、リリースの時、弦が指に沿って
左(右ききの場合)の方向に離され、押手の腕に近づきながら逆S字を描きます。

この逆S字の弦の盛り上がりを少なくできれば、弦が腕に当たるのを防ぐことができます。

方法として、

  • きれいなリリースをする
  • ブレストハイト(ストリングハイト)を上げる
などがあります。

きれいなリリースは、弦が滑るときに完全に指の力を抜き、弦の引っかかりを無くせれば可能ですが、一朝一夕にできものではなく、速攻性のある対策ではありません

ブレストハイト(ストリングハイト)がメーカーの推薦範囲内で腕に弦が当たるなら、弦が腕に当たらないようにハイトを上げる緊急対策があります。

ブレストハイトを高くすることにより、

  • 弦の逆S字の盛り上がりを前腕の当たる部分より体側(引手側)寄せる
  • 弦の長さを短くし、張力を上げることで盛り上がりの高さを低くする
により、前腕に弦が当たる可能性を抑えることができます。
矢のグルーピングなどにハイトの高さは影響しますが、腕に弦が当たるという問題の解決を優先した方がよいと思います。

射形の矯正(肘を返す等)ができ、リリースがきれいにできるようになれば、ブレストハイトをもとに戻すことができます。

次に、前腕を弦の軌道から外すには、一番弦に近い肘の部分を弦の軌道から遠ざけるのが効果的です。

方法として

  • グリップを持つ手の甲を地面に対し傾ける
  • 押手の肘を返す
  • 押手の肘を全く返さない
などがあります。

グリップを持つ手の甲を地面に対し傾けるは、

  • 押手の前腕全体が少し弦の軌道から離れる
  • 押手の肘の内側の窪みの傾きが少し垂直に近づき、少し弦の軌道から離れる
の効果があります。

これは自然に肘が少し返り、特に練習をしなくても、グリップの形を注意するだけで、肘を返す効果を得ることができるようになります。

次に、押手の返しを考えてみます。
押手を返す場合は、上の図のように「
グリップを持つ手の甲を地面に対し傾ける」を併用すると効果的です。

まず、押手の肘を返さないで普通に腕を上げると、肘裏の窪みを通る線(下図の矢)は水平に対し45°くらいになると思います。



肘を返すと、肘裏の窪みを通る線(図の矢)は垂直方向をさします。
この角度の変化により、肘の関節の弦側に出ていた部分が、真下を向くことになり、弦から離れ当たる可能性を低くします。

この肘を返すは、弓を持たずに上の写真のような練習をすることで、短期間でできるようになると思いますますが、弓を引きながら習得するのは難しいと思います。




肘を返す体験は、バレーボールのレシーブのように、両手を前で組んで、肘を両側に広げて肘をひねります。

このひねりで、肘の先が水平に対し45°から真横に向を変えます、これが肘を返すことで、肘を返す体験ができます。

肘を返すことが実感できたら、上の写真のように柱の角などで、肘を返す練習をします。(45°を向いている肘先を真横に向ける練習)

うまくできるようになったら、実践で試してみます。



ここまでの3つ(ハイトを上げる、手の甲を傾ける、肘を返す)を併用することで、ほとんどの人
は弦が当たらなくなると思います。

それでも弦が腕に当たるような極端な猿腕に、「肘の返し」で対応するには肘先が上を向くくらいに返すしかありません。

しかし、極端な返しは矢筋と違った方向に回転の力を大きく掛けなければならないため、肩が入りさらに押手が弦に当たる悪循環に陥ることがあります。

最後の方法として、「押し手を返さない」です。
猿腕の人は腕に力を入れ突っ張ることで、肘が180°以上に開いてしまい、肘の出ているところが弦の軌道に入っていきます。



究極の「押し手を返さない」は、腕に力を入れ突っ張るをやめて、押手に力を入れずにやや腕を曲げた状態で弓を引くことです。

力を入れなければ、肘が開くことはなく、肘が弦の軌道に入らなくなります。

この射形は、押手をやや曲げて押手の肩を下げますが、習得するのはかなり難しいと思います。(私はうまくできません

練習方法は、肘を返さずに、肘を軽くV字に曲げて柱を押し、力を使わなくても骨だけで押す感覚を掴み、肩の力を抜き、押される力を骨で固定するイメージです。

と、実践できないのでイメージだけ書いておきますが、これが理想の押手かもしれません。

2016年7月1日金曜日

600点への長い道のり

2013年9月 600点を目指す で600点を目指してから3年弱、ついに達成しました。

長い道のりでした、50m 281点、30m 325点 合計 606点です。

6/4に清里合宿があり、50mの最高点281点(今までは、2013/9/28の279点)は、久々に50mを1回点取りした時のものです。

30mは、2014/8/13の336点が最高点で、自己新は更新できずですが、50m-30mの2回(連続の合計)で600点達成が目標でしたので、目標を達成したことにないります。

今日、スコアーカードを整理していて気がつきました、確か600点を目標にしていたと!!!
50mでは4点が4本ありましたが、その他は7点以上の点数でまとまり、目標達成です。

さて、次の目標は???

練習を始めてからの最高点は、
50m 281点 2016/6/4   Ave. 7.8
30m 336点 2014/8/13  Ave. 9.3
18m 277点 2014/12/28  Ave. 9.2

となっています。 

2014年から進歩ではなく後退が始まっていたことは確かです。