2019年1月26日土曜日

羽の違いを考える

シャフトの新調に伴い羽も変えてみようかと、友人に頂いた「Kプロダクツ フロナイトソリッドベイン」と従来から使用している「RANGE-O-MATIC スピンウィングベイン」を矢に貼り、各3本を同時に試射してみました。




結果から言えば全く同じにしか見えません。(各10点2本、9点1本)
当然と言えば当然の結果です。距離が短い(25m)ので矢の回転よる修正の違いは的面には表れない。(70mならば、違いがでるか?)

FOC(注)(Front of Center)は全く同じで、飛びも同じ

前回、羽のオフセットについて考えるで述べたようにう、短距離では羽による修正力よりシャフト自身の特性が結果を左右するようです。





注)FOCとは、矢の重心の位置を表す指標で、図のLとAから、
    FOC(%)=100*(A-L/2)/L 
で計算されます。(矢の重心:矢の前側と後ろ側で、天秤が釣り合う点

一般的(ターゲットの場合)に、FOCは、11%から16%程度が適正と言われているようですが、今回の私の矢のFOCは、L=725m、A=485mmで17%程です。

前側が重いトップヘビーとなっていますが、トップヘビーは矢が飛ぶときポイントが矢を引っ張る形となり矢飛びが安定し、羽に作用する空気抵抗の修正力を効果的に利用することができます。

しかし、あまり重いポイントにすると矢全体が重くなり矢速が落ちて、矢が山なりに飛び着矢の精度が落ちます。

今回は、ACEよりポイントを軽く(110grを100gr)したにも関わらず、トップヘビーとなったのは、シャフトを軽くした効果の現れです。(ACEのFOCは18%程度でした)

ターゲットの場合、High FOCが求められる説明がNetにありましたので参考まで。

 Why do FITA shooters prefer a high amount of FOC?

They are seeking precision long range accuracy.  To achieve this, the arrows must be very stable in flight.  High FOC permits stabilization from relative smaller fletching.  Smaller fletching offers a lower drag factor and is less subject to the effects of cross-winds than larger fletching.  These factors become important at the extreme ranges at which FITA shooters compete.

2019年1月25日金曜日

羽のオフセットについて考える

ACEを2年ほど使っていたいましたが、軽い矢を求めて、SKYLON の Paragon シャフトで矢を新調しました。 

仕様は、
今までの矢:ACE-670(スパイン 670 径5.35mm 5.9gr/inch ポイント 110gr)
新調:Paragon-750(スパイン 750 径4.63mm 5.31gr/inch ポイント 100gr)

非力なアーチャーにとって、「軽くて・細い」は、絶対的な正義。(のはず?)

ACE-670に比べ、矢のスパインを750と柔かくしたのは、ParagonはFull Carbonでピンノックのため、硬いと考え2ランク柔らかいものを選びました。

早速、ベアシャフトチューニング(25m)、結果は左の写真の通りで、ベア(3本)と羽根つき(3本)が、ACE-670の弓のセッティングのままで区別がつかない位置にきました。







あとは、プランジャーのばね圧で一番グルーピングがよさそうな所を探って、ばね圧を強めたところで、うまくいったようです。



チューニングに使った的は、大体黄色に入っているので、特に調整しなくてもOkだったかもしてません。

シャフトを選ぶとき、2ランク柔らかくしたのが正解だったようです。


話は代わって本題、矢の羽を貼るときのオフセット(ピッチとも言う)について考えてみます。

オフセットの目的は飛翔中の矢に回転を与え、矢尻がポインの後をよく追うようにし、グルーピングの向上を狙うものです。

あるサイト「Helical vs. Straight Fletch: Accuracy and Repeatability」(http://archeryreport.com/2011/07/helical-straight-fletch-accuracy-repeatability/)に次の写真が掲載されていました。

この写真は、40yard(約36m)の的に、各23本のHelical(らせん状)の羽とストレート(オフセットなし)の羽の矢を射ちこんだものとの説明があります。

一見するとほとんど同じに見えますが、ややHelicalの方がグルーピングが良いようです。

左の写真は、Straight(ストレート)、Offset(オフセット)Helicalの様子ですが、Offsetは羽を貼る時に、シャフト対して角度を付けることで、Helicalと同じ効果をねらったものです。

しかし、矢を回転させるエネルギーは、羽の空気抵抗により生み出され、矢速の低下を招きます、極端な場合「失速」という悪影響生み出します。(矢がふらふら飛ぶ)

Helical vs. Straight Fletch: Speed and Deceleration (http://archeryreport.com/2011/07/helical-straight-fletch-speed-deceleration/)に軽い矢の場合、30yard(約27m)で11%の矢速が失われると書かれています。

前に、「ベアシャフトも回転しいる」に書いたように、リリース時のストリングの動きにより矢に回転が生み出され、ストレートの羽の矢を射っても矢はきれいに飛びます。

特に、短距離(18m以下)では、ストレートとピッチ付き羽でグルーピングに違いは出ません。(ベアシャフトチューニングでは、羽がなくても同じところに集まります。上の写真)

パラドックの影響がある距離では、矢尻が左右に振れるため、矢の回転数アップによる精度向上は期待できません。

短距離で、羽による矢の精度の向を図るためには、矢尻が左右に振れのを止めるため面積が大ききく空気抵抗の大きい羽を、太く長い矢に貼る必要があります。

非力なアーチャーがそれを行うと、大きな空気抵抗のため矢速が失われ「失速」が起こり、かえって命中精度が悪化します。

特に、子供のように低ポンドの弓で山なりに矢を射る場合、矢速をいかに高く保つかを第一に考える必要があり、低速の矢にピッチをつけても無意味です。

また、つぎのような説明もありました。
For competition target setups that don't require much stabilization, the straight fletch may be the best option.

多くのサイトで長距離またはハンティング以外の用途では、羽の貼り方はストレートで良いのではないかと言われています。