2017年3月18日土曜日

ベアシャフトチューニングを考える

久しぶりにベアシャフトチューニングを試みました。
ベアシャフトチューニングは、羽ありの矢と羽なしの矢を射てみて、両者の刺さる位置が大体同じになるようにするチューニング手法です。

調整するのは、
1) ノッキングポイントの高さ
2) プランジャーのばね圧

の2点です。

ネットで調べてみたところ、「羽なしと羽ありが同じ位置に刺さされば矢のスパインが弓に合っている」とのことです。

スパインが合っていると言うことは、「矢の蛇行振動(矢のパラドックと呼ばれる振動)の2つの節が、的の中心へ向かう直線上を飛翔する」と言い換えられます。(パラドックスの話は、こちらを参照)

ベアシャフトチューニングは、羽ありの矢より,羽なしの矢の方が羽による修正力が働かないため、スパインの影響が顕著に表れる特徴を用いて矢の飛びを調整します。

また、このことは、
1)羽ありの矢は、空気抵抗のエネルギーロスが多い
(羽の効果により軌道は修正され、安定した軌跡を描きます)

2) 羽なしの矢は、空気抵抗のエネルギーロスが少ない
(軌跡の安定性は劣りますが、羽の空気抵抗がないため)

このエネルギーロスが少ない羽なしの矢が刺さる位置に、羽ありの矢も刺されてば、羽によるエネルギーロスが最少になるのではと、私は考えています。

なお、スパインが合っていない矢では、よいグルーピングは望めませんが、スパインが合っていても、よいグルーピングになるとは限りません。

ベアシャフトチューニングの方法は、色々ネットで公開されていますので、詳細はそちらを参照いただくとして、私が実際に行った内容を簡単に紹介します。

1.前準備 (前回のセッティングと同じに合わせる:半年で微妙にずれている)
1) プランジャーのチップを修正(チップ先端がすり減っているので、ヤスリで平面に)
2) 新品の弦に交換
3) センターショットを再調整(センターショット参照)
4) 矢のOff setをポイント1/4分左に振り出す(注1)
5) ブレースハイトの確認
6) ティラーハイトの確認
7) ノッキングポイント:高さ 1/4インチで作る(前と同じ)(注2)
8) 羽つき矢3本と羽なし矢を2本を準備(2本の羽を取っただけ)
9) サイトの水平位置をセンターショットに合わせる
10)垂直方向のサイトは、試射6本で決める

注1) 矢のセンターショットからのずれ(Offset、Arrow Arraignment)はプラジャーのセンタースライダーを半回転させ0.5mm出すとポイント1/4分になる(私の場合)

注2) 5/16と4/16インチの高さ2ケースで高さ方向のグルーピングがよい4/16を採用

2. ベアシャフトチューニング
1) ゴールドを外すことがない距離18m、80cm的(5rings)
私の能力では、18m、80cm的のゴールドを外すことはないが、30mでは8点がしばしば出てテストにならないので、18mを採用。

2) プランジャ―のばね圧は、中間強さのばねの中間点から締める方向に1と3/8回転から始める(30mでグルーピングがよさそうなネジの回転数)
2) 一つのばね圧(ネジの回転数)で羽つき3本、羽なし2本をランダムに4セット(計20本)射ち矢の様子を写真に撮る
はじめの射で、ノッキングポイントの高さの変更が必要なら、はじめにノッキングポイントを合わせる。(今回は必要なかった)
3) ばね圧をネジの回転数で1/8回転ずつ締めて2)を3回繰り返し
4) 一回と3/8回転からばね圧をネジの回転数で1/8回転づつ緩めて2)を3回繰り返す
5) 20本x7ケースのデータを的上にプロットし、羽なし矢が羽つきの少し左・下(注3)にグルーピングし、羽付き矢のグルーピングが一番良いもを探す。

注3) Bow Tuning tests より

A common practice is to tune for a bare shaft impact slightly low and left of the fletched group for a right-handed archer



写真は、ネジの回転数:11/8回転締めの4回計20本のデータですが、グルーピングがいいのか悪いのかよくわかりません。

これを、的にプロットすると、羽つき(黒い点)は、10点の円より小さい円の中にグルーピングしています。また、羽なし(赤い点)は、羽つきのやや左下に点在しています。



ネジの回転数11/2回転締めたデータをプロット(下図)すると、羽つき(青の点)は10点の円より大きい円でグルーピングしています。羽なし(緑の点)は左側、やや下に羽つきより小さな円でグル-ピングしています。


ベアシャフトチューニングとしては、ネジの回転数11/2回転の方が良い結果に見えますが、2つを重ねると、ネジの回転数:11/8回転の方が羽なし、羽つきを一緒にしたグルーピングはよく見えます。
また、羽ありのグルーピングは11/8回転の方が良いので、今回のベアシャフトチューニングの結果は、11/8回転としました。

今回の7ケースのばね圧では、羽つきと羽なしの位置関係はほとんど同じに見えて、違いはないので、結局、羽つきのグルーピングの良さでばね圧をきめました。

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ARCHERY AUSTRALIAの Coaching Tips 2 RECURVE BOW TUNING にプランジャーのばね圧を調整するのではなく、弓のポンドと矢のセンターショットからのずれ(Offset、Arrow Arraignment)を調整する方法が紹介されていましたので、その概略を以下に記載します。

1) はじめにプランジャーのばねを抜き、ばねの代わり棒を入れて、ばねが働かないようにする(プランジャーのチップが動かないようにする)

2) 矢の方向をセンターショットに合わせる(OffSetを0にする)

3)15-20mの距離で、羽つき(2-3本)羽なし(2-3本)を射ちノッキンクポイントの高さをチェックし、両方の矢が同じ高さになるようにノッキンクポイントの高さ調整する。(一般のベアシャフトチューニングと同じ)

4) 次に、羽つきと羽なしを同様に射ち、羽なしが右側に行けば、弓のポンドを下げ、左に行けばボンドを上げで同じ位置に刺さるようにする。(右射ちの場合)

弓のポンド調整で矢のスパインと合わせる方法で、弓のポンド調整でうまく合わない場合は、矢を交換するか、他の方法を考える。(一般のベアシャフトチューニングでは、矢のスパインと弓のポンドはそこそこあっているのを前提にばね圧で微調整をしている)

5) プランジャーのばねが働かない状態で、サイトを調整して矢が的の中心にグルーピングするようにする。

6)サイトの位置を変えずに、プランジャーのスプリングを中間のばねのその中間に調整する。

7) センターショットからポイント半分左側に矢が出るように矢の振り出しを調整する。

8) 羽つきの矢を射て、的の左にグルーピングするようであれば、矢の振り出しを右に戻し、矢のグルーピングが的の中心にくるようにする調整する。(右にブルーピングすれば反対に動かす)

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