2017年4月24日月曜日

スピンベーン専用フレッチャーを作る


スピンベーンの説明書(FLETCHING INSTRUCTION FOR ORIGINAL SPIN-WING  VANES) のFigure 4.には、一般の羽に比べてちょっと変わった位置に貼るように説明されています。 

具体的に説明図を読み解いてみます。


Figure 4.の図に補助線を引いたのが左の図です。

スピンベーン(青-右利き用)は、一般的な右利きの羽(赤)の位置より左利き(ピンク)の位置の近くにあります。

正確には、左利きの羽(ピンク)より15°反時計回に回転させた位置にスピンベーンの端があります。

120°用のフレッチャーで線を引いた場合、その線は、赤またはピンクの位置には引くことができますが、青(スピンベーン用)の線を直接引くことはできません。

15°の違いはどうすれば実現できるでしょうか?
まず、フレッチャーに矢を左利き用の線が引けるようにセットします。


A) 線を引き、線の中心に羽の端を合せて貼る、ノックを15°時計回りに回す
B) 線を引き、線に中心から15°離れた位置に羽の端を合せて貼る
C) 15°離れた位置に線を引き、線の中心に羽の端を合せて貼る

などがあると思います。

上の図では15°の違いは相当あるように見えますが、実際の矢の円周上での距離は、直径6mmの矢の場合、約0.8mmになります。

0.8mmは、矢に引く線の幅と同じぐらいですので、私は、

D) 線を引く時にちょっと加減して、線の幅半分分ずらして線を引き、線幅の片側がフレッチャーの作る線で、その反対側が15°ずれた線、その線の端に羽の端を合せて貼る

を行っています。

しかし、この15°には大した意味はなく、こんな感じでスピンベーンを貼れば、羽がレストに接触する可能性が低くなことを説明しているだけだと思います。

そんな訳で、「フレッチャーで引いた線の中心にテープの中心を合わせ、テープの端に羽の端を合せる」もありかと思います。

テープは約2.5mm幅なので、片側1.25mm(24°)ぐらい、僅か0.45mm差です、手で貼っている限り、これくらいの誤差は発生すると思いますので、深く考える必要はないレベルです。

最近のスピンベーンの説明書では、120°用のフレッチャーで線を引き、スピンベーンを貼った後で「レストに対し適正なクリアランスが確保できるようにノックを回せ」Aと同じ)と記述されています。

また、回す量(角度)と方向は人それぞれと言ったところで、万人に最適なものはなく、羽がレストに接触する場合は、ノックくを僅かに回して調整します。

1) 矢の上側の羽がレストに接触する場合
矢の回転が速いので15°が大きくなるように時計回りにノックを回し、羽がレストに最接近するタイミングを遅らせます。

2) 右側の羽がレストに接触する場合
矢の回転が遅いので15°が小さくなるように反時計回りにノックを回し、羽がレストを通過するタイミングを早めます。

前置きが長くなりました
私の場合、上の図の通り15°ノックを回した位置で、レストと羽が干渉しないので、図の通り羽を貼っています。

今回、この15°を正確に設定できるスピンベーン専用のフレッチャーを作成しました。(単なる趣味ですが)

外観はこんな感じです。
白いバーの下に矢を入れます。

部品代は、5百円といったところ。(百均でそろえた)
白いバー: 磁石で紙を止めるのもの外側
円盤: 木製茶たく


時計(木製茶たく)の文字盤、中心のノブを回すと矢が回ります。
回転角度は針で表示。

矢は360°好きな位置に回すことができますが、120°ごと(赤い線)に固定用のピンを刺すことができるようになっています。

また、弦(中心にある黒い線)の位置は、15°のオフセットをつけているので白いバーの中心線が、羽の端の位置となります。



この位置に合わせて羽を貼れば、線を引かずに羽を貼ることができます。

45mmのスピンベーン専用のホルダーを使い、じかに羽を貼っているところ。




1枚貼り終わり
両面テープホルダー
45mmのスピンベーンホルダー

ホルダーを使わずに、バーに羽をセットできるよに改造。(2017/05/05)
クリップホルダー

クリップホルダーをセット

フレッチャーにセット

2017年4月5日水曜日

グリップの改造

グリップを改造してみました。
今までに何回も改造していましたが、久々に大きく形を変えたので、その内容と改造の方法を書きます。
グリップの押し方を少し変えたら、なんだか当たりが不安定なので思いきって変えてみました。


今までは、グリップのピボット部を主に押し、手のひらにはほとんど触れない押し方をしていましたが、分けあって、ピボットと親指の根本のふくらみ(ピボットから1cm~2.5cm下)を圧力ポイントに変更してみました。(詳細は別途)

その時、圧力ポイントの当たりがしっくりこなかったので、当たる部分の面積の広かったグリップの形状を、細く長いものに変更しました。

右が改造前、左が改造後。

大きく丸みがあったものを、押手の生命線がグリップの左端にピッタリ合うように、手の大きさに合わせて改造しました。

結果、押手の座りがよくなったように感じます。



以前(右)は手のひらが接触しないようにピボットの近くを直角に近くし、その後(下の方)は、丸みを持たせてクリップの元の角度に合わせていましたが、今(左)はピボットから直線的な平面になるようにしました。



改造の方法は、次の手順で行っています。


1. エポキシパテ(グリップメーカーやその他)の造形剤で土台を作っる。
固くて、グリップにシッカリ接着されるで、次に使うシリコン素材が取れないようにグリップとパテの間に引っかかりを作る




2. 熱変形シリコン(型想い等)を熱して自由に変形できるようにし、エポキシパテの上に重なて造形していく。

冷めてくると、固くなってくるので、必要に応じヒートガンで熱しながら造形する。
追加が必要な時は、追加される部分を熱した上で、追加の柔らかい熱変形シリコンを重ねることにより一体化される。

熱い時は、非常に柔らかいが、少し冷めると適度な柔らかさになるので、ヘラ、丸棒などで押さえると、色々な形になる。

完全に冷える(室温になる)と硬化するので、グリップとして使える十分な硬さとなる。(熱すれば再度、柔らかくなる。)

3. 調整(試射をした後等)
大まかな形を2で作ったら、変形したい部分のみを熱し、柔らかくしてヘラなどで調整する。
形が自由になるので、すべてエポキシパテで作るより改造が非常に楽です

4.接着
シリコン樹脂を直接接着したい場合は、熱変形シリコンで貼りつける物の型どりをし、樹脂が硬化した後、シリコン用のプライマーを塗布し、瞬間接着剤で貼り付ける。(取れやすので強度が必要なところには不向き)

グリップの変遷(改造の履歴は数えられませんが、大きなもは3回です)


改造する前。










最初の改造、握れないように左にこぶをつけています。








先日まで使用していたもの。
ピボットの押やすさを主眼にした形。


左、今回の改造、試射前。
右、試射後、下に伸ばした。
ハイリストグリップと言われるものに近いと思います、角度は前のピボット押しと同じで、だいぶ深くできています。

試射の結果、手のひらよりグリップを長くし、生命線の終わりまで、グリップに当たるようにしました。


2017年4月3日月曜日

リムのおへその名前

リムのおへそ、リムをハンドルに入れる時にカッチと音がするおへそ
でべその様に真ん中にポッチがある、ばねが入っている丸いガイドのような物。

左の金属製の部品。名前がわからないので調べてみた。

丸いところの名前は、Dovetail (ピッタリはめる)、中の動くピンは Detent (戻りどめ)と言うみたいです。

Dovetailと言う名前で一式が部品として売らています。
渋谷アーチェリーでは、(HOYT)「 リムガイドキットセット」の名前で売られていますので、ガイドもはずれではないようです。

さて、この部品の役目はなでしょうか?
Hoytのマニュアルには、

Carefully align the limb dovetail bushing with the corresponding slot in the riser pocket. Push the limb into the pocket until the detent button engages. You will feel or hear a light “click” when this occurs, and the limb will stay in place under its own weight when fully seated.

とあるので、カッチと音がするおへそも間違いではないようです。
このカッチ感は、リムを所定の位置にしっかり入れ、自重では動かないようにするためものです。

このおへその役目は2つ
1)Dovetail : 正確な位置にピッタリ合わせる   -----外側の丸い金属部品
2)Detent : 弦を張るまで自重で動いて戻るの防止する ---- ばねとピン

最近、Detent(ばねとピン)のないリムを組み立ている人がいたので、「なぜか?」と聞くと、「はずれて無くした」との返事。

無事に弦を張ることが出来れば、Detent(ばねとピン)はなくても問題なさそうですが、「弦を張る途中でリムが外れると事故につながりますよ」と先輩に注意されていました。

このDovetail 案外良くはずれるようです、最近、2人に問題がありました。
一人は、前記のなくした人。
もう一人は、異音がするので調べてみたら、ネジがゆんるんでいた人。

緩める必要がないネジには、「回り止め」を付けておくのも事前の対策になるかもしれません。

矢筋のバランスを考える

矢筋を考えるや その2 その3で矢筋の形について考えてみました。
今回は、その力のバランスについて考えてみます。

まず、矢筋の図に肩、ひじ、手首の関節とそれを結ぶ骨格を考えます。

大文字で表しているのが、引手側で
A: 引手の指が弦を引いている部分
B: 引手の手首の関節
C: 引手のひじ
D: 引手の肩

小文字で表しているのが、押側で
a: 押手の弓のピボットを押す部分(親指と指示指のV字部)
b: 押手の手首の関節
c: 押手のひじ
d: 押手の肩

Oの位置が背骨がある体の中心

矢筋を通すとは、a,b,A,B,Cの各点が直線上にならぶことです。
今回は、この矢筋が通った状態のバランスを考えます。また、実際の力は3次元で作用しますが、計算が簡単なように2次元で考えます。

はじめに、押手と引手にかかる力を考えます。
引手の指Aが15kg(赤の矢印)(約34ポンド)で引いた場合、その引きを支えるために押手aには、同じく15kg(黒の矢印)で向きが反対な力が掛かります。
弓はaで真直ぐ押され、Aで引かれバランスしますので、弓に動きとか、ねじれは発生しません。(矢の方向以外に力が掛かっていない理想の状態です。)

では、この状態で各部に発生する力を考えてみます。
まず、引手側のベクト図(力の方向と大きさを表した図)考えます。


A(指)が15kgで弦に引かれ、その力は、同一線上にあるB(手首の関節)を経由して、C(ひじ)を同じ力15kgで引きます。

この力は、C(ひじ)の関節で向きを変えCからD(肩)を押す力13.4kgとC(ひじ)を前側出そうとする力6.7kgに分解されます。

D(肩)では、押す力13.4kgが肩甲骨を体の中心に向かって押す力11.5kgと、後ろに押す力7.0kgに分解されます。
また、C(ひじ)で発生した力6.7kgは、D(肩)を中心に腕を前側に戻すモーメント(1.8kg-m)を発生させます。

まとめると、肩(D)では、
   1) 体の中心に向かう力:11.5kg----- 押手側の力でバランスする
   2) 肩を後ろに押す力:7.0kg ------- 肩回りの筋力経由で体全体で支える
   3) 腕を前側に戻すモーメント(1.8kg-m) ------- 背筋で支える(主に広背筋広背筋で引手を学ぶ
となります。

次に、押手側を考えます。
a(親指と指示指のV字
部)を弓が15kgで押します。

この力は、b(手首)を尺屈尺屈で押手を学ぶ)し、弓に不要な反力を発生させないように、真っ直ぐ受けなければなりません。

b(手首)では、c(ひじ)を経由してd(肩)に向かう力14.8kgと、腕を前に出そうとする力2.4kgに分けられます。

c(ひじ)を真っ直ぐ伸ばすことにより、入ってきた力14.8kgはそのまま、d(肩)を押す力となります。

d(肩)では、力は次のようになります。
   1) 体の中心に向かう力:14.7kg----- 引手側の力でバランスする
   2) 肩を後ろに押す力:1.3kg ------- 肩回りの筋力経由で体全体で支える
   3) 腕を前側に戻すモーメント(1.4kg-m) ------- 背筋で支える

押手の肩(d)で発生する力も大きさは違いますが、引手の肩(D)と同じものになります。


この2つのベクトル図を合成すると、
引手側の肩(D)の体の中心に向かう力は、押手側の体の中心に向かう力で打ち消され、押手側の3.3kgが残ります。

結局、弓からの力は肩経由で体全体(主に、背中の筋肉、肩の筋肉、体幹)で受け止めることになります。
   1) 両側から肩を圧縮する力(11.5kg)
   2) 押手側から体の中心へ向かって押す力(3.3kg)
   3) 体を後ろに押す力(7.0kg+1.3kg=8.3kg)
   4) 引手・押手の腕を前に回すモーメント(引手:1.8kg-m、押手:1.4kg-m)
   5) Oを中心に体回転させるモーメント( 3),4)の力のアンバランスによる)

結局、弓を引き・押す力は腕の力ではなく肩・背中・体幹と言うことになります。
また、この状態でリリースをすると、弓からの力が消え、肩回りで働いていた力が反発するため、次のようになります。

引手側は、
C(ひじ)を止めていたモーメントの影響で、C(ひじ)が背中側に動く
決して、手首が後ろ(矢の方向)に動くのではありません。

押手側は、
b(手首)を止めていたモーメントの影響で、b(手首)が背中側に動く
決して、b(手首)が体より前に側に動くことはありません。

B(引手の手首)に力が入り、A-Cの直線上にないとBで力の方向が変更され、離れリリースになります。また、リリースで、引手の指が首から離れて後ろ(矢の方向)に動きます。

リリースで引手の指以外の力を抜いてしまうと、戻りリリースや押手が体より前に動く緩んだリリースになります