2016年4月30日土曜日

子供用フィンガースリングを作る

フィンガースリング(弓を止める紐)を、初心者が使うことは非常に重要です。
フィンガースリングを使用しないと、弓を手で握る習慣を身につけてしまいます。

弓を握ると、手に不要な力が入り力みとなり、押手に不要な動きを引き起こします。

大人は、フィンガースリングの使い方を理解し、簡単に使うことができますが、子供にその使い方(結び方)を理解させるのが難しく、理解しても簡単に結べません。

また、大人に合う紐の太さでは、子供の指には太すぎて邪魔になり、グリップをかえって握ってしまいます。

そこで、
 *細くて柔らかく
 *簡単に結べ
 *簡単に取外しができ
 *長さが調整できる

子供用フィンガースリングを作ってみました。


1. 材料
50cm以上の柔らかい紐 1本
  なるべく柔らかいものを使う
  50cmは未調整で大人が使える長さ

20cmぐらいの弦の原糸  3本
  なければ、滑りの良い太めの糸











2. 作り方

2.1 プルージック結び

①     ②-1    ②-2    ③


① 50cmの紐を2つに折る
② 輪の部分を原糸(20cm)でプルージック(注)で結ぶ
    注)原糸を二つに折りにして、紐を縛るように原糸の輪の中に、原糸の端を2回通す
      原糸が紐を滑るように、プルージックの結びの強さを調整する

③ 原糸の端を1回普通に結ぶ

 ④      ⑤       ⑥

④ 原糸の端で紐を一周し普通に本結びをする
⑤ 結び目がほどけないように、瞬間を結び目のみにつける(紐につけないように注意
⑥ 原糸の不要な部分を2mmほど残し切り、余った部分をライターで溶かす(溶けない糸は残す)
⑦ プルージック結びを2つ追加する



2.2 指を入れる輪っかを作る


⑧       ⑨

⑧ 紐の輪とはじめのプルージックの間に紐を通し、指示指用の輪を作る
⑨ 2番目と3番目のプルージックの間に、⑧の輪を通し、親指用の輪を作る

2.3 調整

⑩           ⑪

⑩ 指の輪の大きさと、指の間隔を調整する
⑪ 間隔が広がらないように、紐の端をひと結びし、プルージックがずれないようにする

注)輪は子供の指にあわせ、間隔は弓とフィンガースリングの間に指が1,2本が入るよに調整する。

3. 使い方
3.1 結ぶとき
① 指示指用の輪っか⑧を指示指に入れて、紐を引き、しっかり締める(練習中は外さない)
② 弓を持つ
③ 親指用の輪っか⑨を親指に入れ、紐の端を体の方向に引き、しっかり締める

3.2 外すとき
① 紐の端を指示指方向に引く(親指の輪っかが緩む)
② 親指用の輪っか⑨を中指に掛けておく(紐が邪魔にならないようにする)


スニイカー用の紐を使えば、大人用も同じ要領で作ることができますが、大人は都度結んだ方がカッコいいかも。(「フィンガースリング」で検索


2016年4月29日金曜日

リリースを考える

リリースのプロセスは、単に引手の指を緩める動作ですが、そこに至るプロセスの出来不出来が、ショットの成否を握っています。

FITA Coaching Manual Intermediate Levelでは、リリスのタイミングを、

The position where the release begins should be at the end of the action of coming to full draw and at the beginning of when the extending action is being performed.

「リリースの開始は、フルドローの終わりで、伸び合を開始したところでなければなりません。」となっています。

また、伸び合については、 

The distribution of the power of pushing, and drawing, should always be constant.
Depending on the individual archer there will be a small difference in the distribution of this power; however, it is important that no matter how small this difference is it should remain constant.


押す力と、引く力の分布は、常に一定でなければなりません。
個人によってこの力の分布に差があります。ただし、どんなに小さな違いでも、その差を一定に保っておくことが重要です。」となっています。

具体的にどうすればよいのかわかりませんし、方法には個人差がありますが、私の理解でリリースに至るプロセス(フルドローの終わりで、伸び合を開始したところ)を考えてみました。

   青字がフルドローのプロセス
   赤字が伸び合のプロセス

スタンスからアンカリングまでのプロセス
  • スタンスを決め
  • 矢をつがえ
  • 取かけを決め
  • 体を的に向け開き
  • 呼吸を整えながら
  •     プレドローをかけ
  •     グリップを決め
  •     弓を垂直面にいれ
  •     上リムのマークを的に合わせ
  •     引手側の足に体重を多くのせ
  •     両足に力を入れ、体軸を決め
  •     顔向けを決め
  •     息を軽く吐く
  • 息を吸いながら、
  •     弓を引き起こし
  • 息を吸吐きながら
  •    開いた肩のラインを、的にむけてグリップのピボットを押し
  •    弦を引き始め
  •    サイトピンを的の中心に合わせ
  •    押手の親指の指先が少し下向きになるように、押手を押して決め
  •    引手をあごの下まで引いてくる
  • 弦があごに当たったら
  •    息を吐くのをやめ
  •    引手の指示指の先があごの中心に当たるまで引手をあげ
  •    タブのアンカーパッドをあご骨にあて
  •    指示指をあごに密着させ
  •    鼻の先端に弦が軽く当たっているを確認し
  •    弦サイトを確認し
  •    サイトピンが的の中心あるのを確認する

フルドローのプロセス
  •    サイトピンを的の中心に維持しながら
  •    鼻の先端に当たる弦の力を一定に保ち
  •    よいフォロースルーを意識し
  •    サイトピンに集中し
  •    引手の肘を体に近づけるように肩で引手を回し

伸び合のプロセス
  •    引手の肘が矢筋より体側に来たら
  •    引手の肘を回す力で、押手の肩を前に押し出し、弓を押す
  •    クリッカーが落ちる

リリースのプロセス
  • 引手の指の力を抜いてリリース
   

2016年4月22日金曜日

体軸について考える

アーチェリーの教科書には、体の重心は体の中心線を通り、両足の中央がよいとされています。
重心は少し的寄り、ラインは少し前傾がよいとの説もありますが、ラインは真っ直ぐでなければなりません。

どの指導書でも、体を左右、後ろに傾けたりS字くの字にしてはいけないとなっています。





実際、子供たちを見ていると、しっかり真っ直ぐに立っている子は、行射が安定し、何を教えてもすぐにできるようになります。

一方、立ち姿が不安定な子供は、なかなか行射が安定しません。

スタンス(足の位置)を教えることはできますが、真っ直ぐに立つことを教えるのは難しのです。

体幹がしっかりしている子供は、「普通に立って」と言うだけでしっかり真っ直ぐに立つことができますが、できない子供に「ふらふらしないで、しっかり立って」と言っても安定して立つことはできません。

即席には、両足に力を入れて、お尻りを締めて、お腹を下げて、首を真っ直ぐに、などと言いますが、その時はなんとかできても、すぐに元に戻ります。

web上に「真っ直ぐに立つ方法」などが紹介されていますが、骨格の配列を維持するだけの筋肉がないと難しいようです。

私も体軸が安定せず、エイミングで体軸が的側に傾き、サイトピンが的からどんどん下がっていく、真っ直ぐに立てない大人です。

弓を持った腕を的に伸ばしているので、弓の重みで的側に体が傾いていくのは、自然の摂理です。

そこを体幹の強さで体軸を維持し、サイトピンを的にとめるのがアーチェリーのエイミングです。(腕の力ではとまりません)

そこで私がとった対策は、アーチェリーの教科書には載っていない、重心を引手側の足に掛けてセット、セットアップをし、エイミングで体が的側に傾かないようにする対策です。

感覚的には、セット、セットアップでは引手側の足に体重の8割をのせている感じで、エイミングの時に押手側の足に3割、引手側の足に7割の感じになります。(あくまで感じです)

アーチェリーは射形を争うスポーツではなく、得点を争うスポーツです。
重心がどこにあろうが、矢筋がどうであれ、常に一定の射形で高得点が出せればよいのです。

個人にとっては、楽に引けて、同じことを正確に繰り返せるミスの可能性が低い射形が理想だと思います。

教科書には、多くの人が「楽に引けて、同じことを正確に繰り返せるミスの可能性が低い射形」、平均的な理想の射形が書かれていますが、すべての人に適用できるわけではありません。

他人から見て「理想の射形」である必要はなく、自分にピッタリ合った射形をさがなければと、毎日いろいろ考えながら、自分探しをしています。

2016年4月16日土曜日

FITA コーチングマニュアル レベル2

FITAのページでCoach's Manual Level 2 (intermediate)を見つけたので、その内容をちょっと紹介。

文書は、15のモジュールに分かれていて、アーチェリーに関する色々な話題を取り扱っています。

その中のモジュール12でリカーブ シューティングフォームについて扱っているので、その各章でキーになると思える記述をまとめてみました。


全体を通じて、体の軸をふらつかせないようにとの記述があります。

1. スタンス 
体軸(身体の中心線)を維持できるスタンスを取ること。
まず、正確かつ基本的な正方形スタンス(square stance)をマスターすること。
その後、自分の体形に合ったスタンスに移ること。

2. セットアップ
押手の正しい位置(ピボットを押す)と腕のねじり。
引手の高さは、目と唇の間のあたりで引く。
ドローイング中の体軸がずれないように。

3.取かけ
取かけは慎重、かつ正確に行うべき。
初期段階で不適切な指の位置を覚えると、是正するのは非常に困難。
取かけの位置が、フォーム全体に影響するので、取かけは完璧に行う。

4. グリップ
グリップは、すべてのショットで一定となるように、違和感のない自然な位置とする。
ショット完了まで、押手の肩と腕の安定性を感じ維持する。
伸び合でグリップ上の手が、滑ったり左右に動いてはいけない。

5. ドローイング
弓は、均等にゆっくり引き、完全に制御されたリズミカルな動きとする。
引く方向は真っ直ぐに、ふらついてはいけない。
弓を引くとき体軸を維持する。

6. アンカー
アンカーは、すべての基本的なスキルの中で最も重要
アンカリングは、肘を使って弦を引く。
肘は矢の水平ラインより高くなければならない。

7. フルドロー
フルドローの正しい姿勢を習得したあとで、リリースの練習を開始すべき。
フルドローでは、真っ直ぐに立つこと(体軸の維持)。
押手のグリップから引手の指を経由して引手の肘までを真っ直ぐにすること(矢筋)

8. 伸び合
シューティングの基本的なスキル(伸び合)を習得したのち、クリッカーを使うべき。
伸び合は、押す・引くの力のバランスを常に一定とすることが非常に重要。
体の中心線または重心に変化を生じさせてはいけない(体軸の維持)。

9. リリース
後でリリースを修正するのは非常に困難、初・中級の段階で、リリースをマスターすること。
伸び合の時は、背中の筋肉の力を維持しながら制御されたリリースを行う。
リリースは、引手の指を制御する筋力をただリラックスさせる。

10. フォロースルー
リリース後は、フォーム、視覚、感覚、呼吸の状態を含め、姿勢を維持する。
リリースとフォロースルーの動作では、体軸の垂直線を維持する。
背中の筋肉はリリース後すぐに緩めるべきではない。
良いフォロースルーをイメージすると、良いリリースができる

11. 呼吸
セットでは、通常の自然な呼吸。
セットアップで、腹式呼吸により約 70 ー 80% の量を吸う。
ドローイングで20%-30%まで吐く。
アンカー位置では、呼吸動作を中断(空気の漏れ程度の呼吸維持)。
ショット完了で、普通の呼吸パターンに戻す。
呼吸と動作を関連づけてルーティンを確立する。