2016年5月8日日曜日

尺屈で押手を学ぶ

学ぶシリーズ 004

押手の押すを考えてみます。

弓の中心は、ハンドルのグリップの一番くぼんだピボット(ポイント)と呼ばれるところです。

レスト・プランジャーの位置は、ピボットより数センチ上にあり、弓の中心は矢の位置ではではありません
ピボットの位置
このピボットは、上下・左右の中心であり、この一点を押せば左右にも前後にも傾かないようになっています。

実際は、スタビライザーの重みで、弓は前に回るようになっていますが、左右はこの点で釣り合っています。

押手でピボットを真っ直ぐ押せ」とか、「ハンドルを握ってはいけない」とか、「押手の親指で的方向へ押せ」とか言われます。

それは、弓を引く力を弓の中心のピボットで真っ直ぐ受ける言い換えることができます。

さて、真っ直ぐとはどのようなことでしょうか?
矢筋を考える その2 にあるように、弓を引いている方向と弓を押す腕の方向は直線ではありません。
赤:引く方向  黒:押す方向


この押手(腕)の方向の力をそのまま弓に与えると

腕の方向に弓に力を与える

弓を引く力に対抗する押す力と、弓を右方向に押し出す力が弓にかかります。その結果、矢は右方向に飛んでいくことになります。

この右方向の力を打ち消すには、グリップを押す押手(手)を尺屈(注)させ、ピボットにかかる力を引く方向と同一線上の反力に変えます。
    注)尺屈とは、手首の関節を小指側に折り曲げる運動の向きのこと。

尺屈をして押す力の方向を引く方向の逆方向にする        尺屈

この尺屈の力は、手の内部の力として押す力の方向をかえますが、外部の弓に作用する力とはならず、弓を左右に動かすことはありません。(内部の力は、押手の腕を前方向に回す力となり、背中・肩の筋肉がその力に対抗して腕が動くのを防ぎます。)

腕のひねり



このとき押手の腕を少しひねり、手の平をハンドルに対し45°ぐらいにすると、尺屈の効果が増し押しやすくなります。

何度にするかは個人の好みですが、ガングリップ(ピストルを握る 0°の握り方)では尺屈の効果はありません。




一方、押手の肩を入れたり、指に力を入れてハンドルを握ったりすると、グリップの側面に力が加わり、弓を左右に動きます。(矢が左右に飛ぶ)

弓に不要な力を発生させる力のバランス

先輩の格言「押手は押すな」は、押手の余計な力は百害あって一利なしを表していますが、筋肉で押さないで力は骨で受ろとも言っています。

引く力はピボットの押手に作用し、手の骨・腕の骨・肩の骨を経由し背中の筋肉で支えます。
骨は、押された力に対抗できますが、筋肉のとは違い余計な力を弓に発生させることはありません。

グリップは、手首の相対的な位置によって、ハイグリップ、ミディアムグリップ、ロウグリップなどの種類がありますが、どのグリップでもグリップを握らずに真っ直ぐ押すことで余計な力を弓に与えないようにする必要があります。


1 件のコメント:

  1. 尺屈の方法を検索し、たどり着きました。尺屈させる意味を深く理解できました。
    素晴らしい説明ありがとうございました。

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